紙容器

紙容器とは

紙容器は、紙を主材料とした容器で、内面にプラスチックフィルムを貼る、アルミニウム箔を貼る、ワックスを塗る等の表面処理を施して、液体が漏れないように加工処理された容器です。

日本では1980年代に、ガラス瓶で供給されていた学校給食の牛乳を、テトラ社が開発した四面体の紙製容器「テトラパック」に入った牛乳に置き換えることで普及が進みました。

当時の紙容器は、ガラス瓶と比較して軽くて割れず、使用前は小さく折りたたんで保管でき、使用後は捨てられることが利点とされました。紙容器は改良が続けられ、長期保存が可能な容器も実用化され、酒類への適用など用途が広がりました。

その後、環境意識の高まりとともに紙容器にもリサイクルが求められるようになり、平成12年 (2000年) に制定された容器包装リサイクル法により、紙容器の回収とリサイクルを進めてゆくことになりました。

紙容器の使用用途

紙容器は1980年代に「三角牛乳」と呼ばれた牛乳容器として登場しました。割れずに使い捨ての紙容器は学校給食の牛乳の容器として使用が拡大しました。しかし、当時の紙容器は長期保存に適さないことや、遮光性や保香性に弱いところがあり、用途が限られていました。

その後の改良で容器の内部に複数の素材を組み合わせてバリア層を作ることで、保存性、遮光性、保香性など容器に求められる性能を高めて行き、使用範囲を拡大してきました。

紙容器は、飲料用としては牛乳や清涼飲料水、清酒、ワイン、焼酎などのアルコール飲料、そしてジュース類などに使用されています。

飲料以外の食品用としては、しょうゆ、めんつゆ、酢、食用油、ドレッシングなどの調味料を入れる容器としても使用されています。

食品以外の紙容器の使用例としては、シャンプー、ハンドソープ、入浴剤など日用品や、カーシャンプー、クリーナー、バッテリー液、モーターオイルなどのカー用品、農薬、昆虫駆除剤などの化学薬品の容器などがあります。

最近では、大気中に放出される二酸化炭素の削減や、海洋に流れ出るプラスチックごみの問題など、環境に対する問題意識の高まりを受けて、紙容器にて販売される商品が増えています。

紙容器の原理

紙容器はパルプから作られる板紙を主原料として、複数の素材をラミネート加工して作られます。パルプは木材や植物から摂りだしたセルロース繊維の集合体であり、再生可能な原料です。板紙はラベルをカラフルに印刷することが容易なうえ、安定性と強度に優れています。

板紙の厚さは、必要以上に厚くすることはせず、容器として安定するのに必要なだけの厚みを確保しています。板紙の容器の内面となる側には、容器の中に入れた飲料などの漏れを防ぎ、品質を確保するための包材を付けます。一方、外側となる面には、板紙を損傷から守るためのフィルムを包材として使います。

包材は複数の素材によってできており、この包材をどのような構成にするかによって紙容器の特性が決まります。代表的な包材としては、アルミとポリエチレンフィルムがあります。

アルミは遮光性に優れており、光劣化しやすいもの、酸化しやすいもの、香りを逃がさない機能が必要なものなどの容器に使われます。

ポリエチレンは、容器を外部の湿気から保護する機能、アルミを容器に固着する機能が有ります。

ラベルの印刷とラミネート加工が終了した板紙は、カットされてロール状にまとめられます。このロールを容器を作る原型に切り出し、折り曲げて、必要部分を接着することで紙容器が出来上がります。

また、紙容器には、軽くて、中に液体を充填するまでは小さく折りたたんで保管が可能という優れた点があります。同じ容量の瓶と比較して、資材保管庫の収納スペースが約50分の1で済み、輸送コストも半分で済むという説もあります。

紙容器の選び方

紙容器は金属やガラスの容器と比較すると加工が簡単なので、様々な容量と形状の容器があります。容器の屋根の部分を変形させたり、取り出し口をつけるなどの加工もしやすくなっています。

その一方で、包材をどのように選んでラミネート加工するかで、どのようなものを中に入れられるか、どれくらいの期間保存できるか、常温保存か冷蔵保存かなどの仕様が変わってきます。従って、保存するものの特性と条件に合わせた容器を選ぶ必要があります。

また、最近では環境保護に対する消費者の意識が高くなっています。紙容器のアルミ層を作る際に、アルミ箔を貼るよりは、蒸着によってアルミ層を作る方が、接着剤を使用しない分だけ、環境に優しいと言えます。

ポリエチレンフィルムは石油から作られるものと、植物から作られるものがあります。植物由来のポリエチレンフィルムは、植物が成長過程に取り込む二酸化炭素を考慮すると、石油由来のものと比較して、製造の際に約10%の二酸化炭素を削減できると言われています。

このように環境にやさしい製造方法や材料を選択することも、今後は重要な選択肢になって来るでしょう。

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