X線検査装置

X線検査装置とは

X線検査装置

X線検査装置とは、対象物にX線を照射し、透過したX線を測定・解析することで、対象物を破壊することなく内部の異物や破損を検出可能な装置です。

元素の特定や有害物質の含有率を正確に計測することも可能です。

X線検査装置の使用用途

X線検査装置は、医療分野や食品・電子部品の製造加工のみならず、建設業界や航空業界などあらゆる場面で利用されています。下記のような使用用途が代表的です。

  • 医療分野: レントゲン撮影、CTスキャンなど
  • 製造業 : 異物の検出、製品の検品など
  • 建設業 : コンクリートなどの非破壊検査
  • 航空業 : 空港での荷物検査など

図3-X線撮影の造影イメージ

図1. X線撮影の造影イメージ

医療分野におけるX線検査装置による造影は、透過X線の強度が大きい部分ほど白く映り、逆に照射X線が減衰した部分は黒く映ります。透過X線の強さは、対象物質の原子番号と密度、厚さなどの要素により決まります。 原子番号が大きいほど、密度が大きいほど、厚いものほど照射X線が遮蔽され、透過X線の強度が小さくなります。

例えば、人体を対象にしたレントゲン撮影の場合は下記のように造影されます。

  • 透過度が高い (黒色) : 空気 (肺、消化管ガス) や脂肪
  • 透過度が中程度 (灰色) : 水 (胸水、腹水、尿) 、軟部組織 (脳、腹部臓器、筋肉など)
  • 透過度が低い (白色) : 骨、石灰化 (胆石、腎結石など) 、金属 (人工関節など)

このことを利用して、CT撮影した画像を3次元カラー画像にする技術も開発されています。

X線検査装置の原理

図1-X線の透過性

図2. X線の透過性

X線は、波長が10-3 nm – 10 nm程度の電磁波で、放射線の1種です。放射線には、α線、β線、γ線、X線、中性子線などの種類があります。X線は、α線などの粒子線とは異なり、波長が短い電磁波であるため、物質の透過性が高く、ほとんどの物質を透過することができます。

X線を物質に照射すると、X線の一部が物質中の電子と 衝突し相互作用することで、吸収や散乱現象が起こります。照射したX線のうち、このような現象が起きなかったX線が物質を透過した透過X線です。

X線検査装置の構造

図2-X線検査装置の構造

図3. X線検査装置の構造

X線検査装置は、X線照射装置とX線感光部で構成されており、照射対象を挟んで使用し、透過X線の強度分布をフィルムで造影します。従来のX線感光部は、感光フィルムを蛍光増感紙ではさみ、カセッテと呼ばれるケースに入れて使用します。現在では、ほとんどのX線検査装置がデジタル化されており、感光フィルムの代わりに、イメージングプレート (IP) やフラットパネルディテクター (FPD) が使用されています。

X線検査装置の種類

X線検査装置は主に下記のような種類に分けられ、進歩してきました。

1. X線TV装置

動画像としてリアルタイムに身体内部の状況を捉え、TV画像上で観察できる装置です。造影剤を臓器や血管内に注入し、これらが造影される様子を確認しながら撮影することができます。また、X線TV装置で透視観察をしながら内視鏡などを用いて観察、治療を行うことも可能です。

2. CT型荷物検査

空港での荷物検査は、上下方向にX線を照射し、内部を観察する方法が一般的ですが、医療分野で利用されるCTの原理を用いることで、荷物の3次元画像を造影可能な装置が開発されています。これにより、手荷物を開けずに検査することができるため、空港での手荷物検査場の混雑を緩和することが期待されています。国内外の一部の空港に導入されています。

3. X線検査装置の小型化

携帯型X線源の開発と感光部のデジタル化によって、現代では様々な可搬式のX線検査装置が開発販売されています。主に工場や建設現場などで非破壊検査装置として利用されています。検査対象を破壊せずに、内部の割れ・亀裂・腐食等の異常などが確認できます。工場や建設現場の完成や定期検査によく用いられている他、水中での検査や自走式ロボットに装着など、小型化によってX線検査装置の用途が広がっています。

X線検査装置のその他情報

X線検査装置の資格

X線検査装置を使用するには、「エックス線作業主任者免許」の取得者を責任者として選任することが必須です。この資格の保有者は、X線に関する保全業務の責任者として業務に携わることができ、放射線障害防止の為の立ち入り禁止区域の確認や装置検査、X線照射調整や管理などを職務とします。

資格取得には、次の4科目の試験を受け、合計で60% (各科目40%) 以上の得点で合格する必要があります。

  1. X線の管理知識
  2. X線の測定知識
  3. X線の生体に与える影響
  4. 関係法令

この免許は更新等はなく、一度合格すれば永久に保持出来る資格です。

参考文献
https://www.matsusada.co.jp/column/words-xray3.html
http://www.shikakude.com/sikakupaje/xsen.html
https://toreck.co.jp/industrial/question.html
https://www.matsusada.co.jp/support/faq/xm_xins/x-ray-license.html

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