sus430

SUS430とは

SUS430とは、鉄やクロムが主成分のフェライト系に分類されるステンレス鋼です。

ステンレス鋼は、鉄とクロムなどを主成分とする合金であり、鉄よりも耐食性や耐熱性に優れています。SUS430は、その中でも代表的なグレードの1つであり、クロムを16~18%含みます。

このクロムの含有量によって、SUS430はさまざまな特性を持っています。

SUS430の使用用途

SUS430はフェライト系ステンレスの中では最も一般的な材料であり、家庭用品から工業部品まで幅広く使用されています。比較的コストが安い、加工性が良いなどの理由から、製品自体を形作る素材として使われます。

身近な使用例は、家庭内の水回り製品や家電製品です。キッチンのシンク・混合栓・お湯を沸かす電動ポットの魔法瓶部分・洗濯機のドラムなどが挙げられます。また、やかん・鍋などの調理器具やスプーン、フォークなどの食器類、業務用冷蔵庫などの厨房用品にも使われており、最もよく目にするステンレスです。

その他の分野でもSUS430は幅広く活用されており、工業分野、建築の屋根材として建築分野でも使用されています。強い磁力を常に持つ性質から、磁力を使う製品でも採用されています。SUS304より安価である理由から、SUS304の代替として用いられることも多いステンレスです。

SUS430の性質

クロムを16~18%含み、コストが高いニッケルを含まないため安価です。400番台のステンレスの中では耐食性が高く、加工性に優れ、強い磁性がある性質を持ちます。一方で、屋外では腐食の可能性が高く、屋内での使用が推奨されています。そのため、屋外使用の製品では耐食性が高い他のステンレスを選定する場合があります。

身近なステンレス鋼であるSUS304と比べると、ニッケルを含まないため、コストが安くなる反面、耐食性は劣るのが欠点です。表面が滑らかなほど錆びにくくなるため、研磨やエンボス加工などの表面処理を行い、腐食を防いで用いられる場合もあります。

常温以下の低温で脆くなる低温脆性や、400~500℃の高温で脆くなる475℃脆性と呼ばれる性質が、オーステナイト系やマルテンサイト系ステンレスに比べて顕著であることが大きなデメリットです。延性・靭性が低下し衝撃に弱くなるため、高い荷重がかかる部分や、高温環境での長時間使用が想定される用途への使用は向いていません。

SUS430の種類

SUS430は、フェライト系ステンレスの中、クロム含量が16~18%程度であるステンレスの総称でもあります。SUS430のクロム含有量をそのままで、微量成分を追加して、フェライト系ステンレスの特徴である安価、加工性、溶接性を維持したまま、性質を改良したものが多くつくられています。

1. SUS430L

炭素量を減らしており、耐食性が向上されています。

2. SUS434

モリブデン (Mo) が1%添加されて耐食性を向上させています。

3. SUS430F

硫黄 (S) 含量が多く、被切削性が向上しています。

SUS430のその他情報

SUS430の製造方法

まず、鉄、クロムなどの原料を炉で溶かします。その後、溶かした原料から不純物を取り除くために精錬を行います。この工程では酸素を注入して炭素を取り除きます。

精錬が終わった溶鋼は、厚板、線材、棒材などの形状に押し出されて冷やされます。これが鋳造と呼ばれる工程です。鋳造されたステンレス鋼は、2つの回転する円柱の間で引き伸ばされ、薄く加工されます。

この過程を圧延と呼び、熱間圧延と冷間圧延の2つの方法があります。最初にスラブ (鋳造された鋼のブロック) を使用して熱間圧延が行われます。その後、スラブ表面の欠陥を研磨し、熱間圧延後に熱処理と酸洗が行われ、必要に応じて冷間圧延が行われます。最終的には研磨や検査などの工程を経て完成です。

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