バイオディーゼルとは
バイオディーゼルとは、植物または動物に由来するディーゼル燃料の1種です。
長鎖脂肪酸エステルで構成されています。通常、動物性脂肪、大豆油、または他の植物油などの脂質をアルコールと化学反応させ、エステル交換のプロセスによってメチル、エチル、もしくはプロピルエステルを生成することによって作られます。植物油や廃油とは異なり、バイオディーゼルは、既存のディーゼルエンジンや流通インフラと互換性がある燃料です。
ただし、ほとんどのエンジンは変更なしでは純粋なバイオディーゼルでは稼働できないため、通常は石油ディーゼルと混合されます。加えて、バイオディーゼル混合物は暖房油としても使用可能です。バイオディーゼルの色は、製造方法と燃料の原料に応じて、透明から金色、暗褐色までさまざまです。
これにより、燃料の特性も変化します。一般的に、バイオディーゼルは水とわずかに混和し、沸点が高く、蒸気圧が低いという特性があります。
バイオディーゼルの使用用途
バイオディーゼルは、持続可能なエネルギーとして、現在では幅広く使用されています。バイオディーゼルに石油由来のディーゼルを混ぜて使用するのが一般的です。
バイオディーゼルと従来の石油由来のディーゼルの混合物は、従来の石油由来のディーゼルで駆動させる装置をバイオディーゼルで動かすため、一般的に販売されています。世界の多くは、「B○○」と表し、燃料混合物中のバイオディーゼルの量を示しています。
例えば、100%バイオディーゼルの場合は B100と呼ばれ、B20と表記される場合は20%バイオディーゼルと80% 石油由来のディーゼルの混合物です。バイオディーゼル燃料は硫黄分をほとんど含まないため、排気ガス中に含まれる硫黄酸化物 (SOx) の排出を既存のディーゼル燃料より抑えることができます。また、二酸化炭素排出量も同様に低くなることから、将来に求められる排気規制に対する解決策と考えられています。
バイオディーゼルの性質
バイオディーゼルの引火点は 130℃を超えることがあり、これは石油由来のディーゼルの引火点よりも52℃高い温度です。また、バイオディーゼルの密度は約0.88g/cm3で、石油由来のディーゼル の約0.85g/cm3よりも0.03g/cm3高くなっています。
バイオディーゼルの混合率は5%までであれば既存のディーゼルエンジンに通常通り使用しても問題ないと考えられていますが、バイオディーゼルの混合率が高くなると様々な不具合が報告されています。特に高濃度バイオディーゼル (80%以上) においては、燃料ホースやガスケットへの腐食が主な懸念材料です。
また、混合部中に含まれる高融点成分が分離して粘性が上昇する曇点が高いため、低温環境下での使用では燃料の流動性が低下しフィルターの目詰まりに注意が必要です。
バイオディーゼルの種類
1. 脂肪酸メチルエステル
植物油や廃食用油などをエステル交換反応により生成した燃料です。FAMEとも呼ばれ、混合率30%以下の軽油との混合物は自動車用燃料としても利用されています。
2. 水素化バイオディーゼル
脂肪酸を水素化処理することで炭化水素として精製し、再生可能ディーゼルとも呼ばれている燃料です。脂肪酸メチルエステルよりコストがかかりますが、既存のディーゼル燃料と同じように扱うことができます。
バイオディーゼルのその他情報
バイオディーゼルの需要
世界中の多くの国が、化石燃料や石油に代わるエネルギー源として、バイオディーゼルなどのバイオ燃料の使用と生産の増加に関与しています。バイオ燃料産業を育成するために、政府は石油への依存を減らし、再生可能エネルギーの使用を増やすため法律を定めています。
例えば、欧州はバイオディーゼルの最大の生産地域であり、フランスとドイツがバイオディーゼルのトップの生産国です。バイオディーゼルの使用をより増やすために、バイオディーゼルを燃料に混合することを要求する政策があり、既定の比率に達しない場合は罰則が存在する場合があります。