マイクロスプリンクラー

マイクロスプリンクラーとは

マイクロスプリンクラーとは、少量の水を均等散布する小型・低圧タイプのスプリンクラーです。

マイクロは本来100万分の1を示し、転じて「非常に小さい」という意味で用いられる言葉です。マイクロスプリンクラーによる散水方法は、マイクロ灌漑と呼ばれます。

アメリカやイスラエルなど、乾燥した地域で発展したかんがい方式です。用途に合わせた散水管理が可能で、オランダや日本など水に恵まれた国で使用されています。

マイクロスプリンクラーの使用用途

マイクロスプリンクラーは、主にハウスや露地栽培の野菜や果物、花卉などの散水に使用されます。設置した後も、育てる作物や用途に合わせ、散水量の異なるノズルに付け替え可能なため、作物の成長に合わせ、きめ細やかに散水を管理することができます。

また、挿し木や接ぎ木などの栽培や、防除や施肥と言った、薬品散布にも使用可能です。真夏の気温を下げるためにミスト散布や、屋外での使用例もあります。

マイクロスプリンクラーの特徴

長所

通常サイズに比べ、散水の均等率が高く、地上からの立ち上がりライザー管や吊り下げアダプターで、設置環境を調整可能です。そのため、水遣りをする作物の 成長に合わせ、播種から発芽、育苗中、定植後、暑さ対策など、用途に応じた散水の量や頻度、高さのパターンがあります。

短所

マイクロスプリンクラーは、単価は数百円と安価です。しかし、散水範囲が狭いので、多数設置する必要があり、トータルコストが高くなるのが短所です。

マイクロスプリンクラーの種類

1. 散水形状による分類

散水方向としては下向き、上向き、横向きがあり、球状、全円、扇型、楕円形などの形状に散水します。また、散水する水滴の大きさも様々で、霧状や小雨サイズなど、より細かい水滴もあり、水圧や水量によってさまざまな散水量を選ぶことができます。

2. ノズルの材質による分類

マイクロスプリンクラーの素材には、樹脂製と耐久性に優れた金属製があります。

マイクロスプリンクラーの選び方

農業分野での利用の場合、マイクロスプリンクラーによる潅水が最適とされる品種例としては、果菜ならば、キュウリ、ピーマンなど、葉物ならほうれん草、水菜など、またネギやサツマイモ、菌類、茶などが挙げられます。果物はイチゴ、梨、ぶどうなどが最適です。その他、花卉ならばバラやガーベラ、菊等も向いています。

栽培する作物に合わせ、マイクロスプリンクラーの水圧と毎分の水吐出し量、口径サイズを、性能表を見て確認します。ポンプや配管、水源からの距離、予算などから、希望に合う設備を選びます。

マイクロスプリンクラーの使い方

マイクロスプリンクラーの使い方として、設置の仕方には吊り下げ式と、地上設置があります。地上に設置する場合、マイクロスプリンクラーのノズルを、作物よりも上につけるための立ち上がりライザー管を取り付けることもできます。また、吊り下げる場合、吊り下げアダプターを使用することも可能です。

マイクロスプリンクラーは、1個当たりの散水量は少量なので、散水する広さに応じて、配置図を作成すると良いです。プリンクラーの目詰まりを防ぐため、水源とスプリンクラーの間に、フィルターを設置することが推奨されます。

設置の前に、破損やノズルの目詰まりは無いかを確認します。また、水源に開栓をタイマー設定することで、自動散水が可能です。水に肥料などを混ぜる場合、液肥混入機をマイクロスプリンクラーと水源の間に設置します。水源からの水圧が十分強ければ、多くのマイクロスプリンクラーを1度に稼働できますが、水圧が低ければ部分的稼働で順次散水することになります。

飛距離範囲内であっても、場所によって散水量には多少ムラがあることが多く、均一な散水量になるよう配置には注意が必要です。マイクロスプリンクラーは、ハウスなど屋内での使用例が多く見られますが、屋外の場合、風の影響を受けてしまいます。そのため、散水距離の約60-80%を有効散水距離として、配置間隔を決めます。使用後の閉栓では、水撃作用による破損を防ぐために、ゆっくりと栓を閉じることも重要です。

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