クレーン車とは
クレーン車とは、動力で荷物をつり上げ、これを水平に移動させることができるクレーンの機能を搭載した車です。
道路を走行して移動できることから、移動式クレーンとも呼ばれています。さまざまな場所で、作業に適した位置に設置して作業を行えるのが最大の特徴です。
また、車両のバリエーションやサイズもあるため、使用場所や用途に合わせて車両のタイプを選ぶことができます。土木現場や解体工事、建設現場などで利用されており、一般の方にも馴染みのある建設系車両の1つです。
クレーン車の使用用途
クレーン車は、さまざまな場所で荷物の移動、資材の荷上げや荷下ろしなどを行うために使用されています。自走して作業する場所へ移動できる機動性が、多くの場面で使用されている理由です。
さまざまな建設現場や工事現場、救難作業やイベント設営などで活躍しています。不整地や軟弱な地盤、狭い場所に移動して作業できるため、各分野で重宝されています。
クレーン車の原理
クレーン車は、走行ができる車体にクレーン装置を架装したものです。上部旋回体は、旋回装置により車両の全体を左右に旋回することができます。上部旋回体のジブ (ブーム) の起伏や伸縮は油圧の力により作動します。
クレーン車の種類
走行し移動できるクレーン車として、以下の6つが挙げられます。
1. トラッククレーン
車体に旋回サークルとアウトリガーなどを装備し、その上にクレーン装置が架装されているクレーン車です。走行用の運転室と、クレーン操作用の運転室がそれぞれ設けられています。小型のものから大型なものまで幅広く使用されており、20tのつり上げ能力を持つクレーン車です。
2. 積載型トラッククレーン
車体にクレーン装置と、荷物を載せるための荷台があるクレーン車です。クレーン装置が運転室と荷台の間に架装されているものが多く、吊り荷作業、荷物の積載、運搬作業を一台でこなすことができるため利便性が高いです。つり上げ能力は3t未満のものがほとんどで、クレーン操作は車両の側方で行うものと、ラジコン式のものがあります。
3. レッカー形トラッククレーン
事故車両のけん引、工場内の機械設備据え付け工事などのために使用されるクレーン車です。ジブの長さが10mと短く、けん引用のピントルフックとウインチを装備しています。
4. ラフテレーンクレーン
大型タイヤを装備したホイールクレーンの一種で、全輪駆動式のクレーン車です。2軸の4輪駆動式なため、小回りが効き、市街地などの狭い現場でも使用できます。
また、不整地や軟弱な地盤などでも安定して走行できるのも特徴の1つです。つり上げ能力も4.9t〜70t、追加でウエイトを取り付ければ、100t以上の能力を発揮するものもあります。
5. オールテレーンクレーン
高速道路の走行や、不整地での走行もできる大型のクレーン車です。最大8軸で16の車輪を装着するオールテレーンクレーンは、多軸駆動で多軸操舵も可能なため、小回りが効きます。狭い現場でも、大きなつり上げ能力を発揮できるクレーン車です。
6. クローラークレーン
走行装置にクローラーを採用しているクレーン車です。クローラー式は接地面積が広いため接地圧が低く、軟弱な地盤でも走行して移動ができます。走行速度が時速1〜3kmと遅いため、公道は走行できません。移動はトレーラーに載せての移動になります。
クレーン車のその他情報
クレーン車を運転する際に必要な免許
クレーン車を運転、操作をするには、使用するクレーン車に合わせて以下のどれかを受講する必要があります。
- 移動式クレーンの運転の業務に係る特別教育
- 小型移動式クレーン運転技能講習
- 小型移動式クレーン運転技能講習
- 移動式クレーン運転士免許
- 玉掛け技能講習
また、公道を走行するためには、車両の大きさに合わせて中型免許や大型免許、大型特殊免許が必要です。