ダンプ車とは
ダンプ車とは、主に建設現場で土砂や砕石、産業廃棄物などの運搬作業に使用されている建設車両です。
ダンプ車の後方には、荷物を積むための荷台が取り付けられています。この荷台は上げ下げすることが可能で、荷台を上げて傾斜をつければ荷物を簡単に降ろせます。なお、 ダンプとは、荷物を一度にどさっと降ろすという意味です。
ダンプ車の使用用途
ダンプ車の使用用途は、主に建設現場の掘削や掘り起こし作業などで生じた土砂の運搬です。その他にも、採石場からの砕石の運搬、降雪地帯での雪の排雪作業など多岐にわたります。
ダンプの種類によっては、ミニ油圧ショベルやフォークリフトなどの運搬にも使用されています。ダンプ車は、大きさや種類によってさまざまな使い方ができる建設車両です。
ダンプ車の原理
ダンプ車の特徴でもある荷台を上げるダンプアップの原理は、PTOスイッチを入れ、ダンプレバーを上げれば荷台を上げることができます。PTOとは、エンジンの動力を作業用の動力に変換する機能で、パワーテイクオフの略です。
荷台は、油圧の力により油圧シリンダを伸縮させ荷台を上げ下げさせます。レバーを上げると荷台が上がり、レバーを下げれば荷台も下がります。
ダンプ車の構造
ダンプ車の構造は、シャーシを基本にボディが仮装されています。シャーシとは、キャビン (運転席) と車両のフレーム (骨格) のことです。ボディを架装するため、シャーシには高い剛性が求められています。
また、ダンプ車のボディは、シャーシの上に架装された荷台のことです。荷台には、左右と後方に開閉のできるアオリと、アオリの上部に土砂などがこぼれるのを防ぐ飛散防止装置のコボレーンが設置されています。
ダンプ車の種類
ダンプ車の種類は、車体の大きさの他に、使用用途に適したものが複数あります。
1. 普通ダンプ
公道の走行ができる、最も目にすることのあるダンプ車です。小型、中型、大型とサイズがあり、土砂ダンプ 、リアダンプとも呼ばれています。
2. 重ダンプ
ダム工事など大規模な工事現場で使用されている巨大なダンプ車です。 最大積載量が20t〜300t以上にもなり、大規模な工事現場には不可欠です。ただし、一般道路を走行することは禁止されています。
3. 土砂禁ダンプ
土砂の積載が禁止されているダンプ車です。荷台の側面や後方のアオリが高くなっており、飼料、肥料、木材チップ、産業廃棄物などの比較的軽い物の運搬に適しています。
土砂の他、ガラスクズ、コンクリートクズなどの重量のある廃棄物は運搬できません。深ダンプとも呼ばれています。
4. ローダーダンプ
荷台が傾く他に、後方へスライドする機能を持つダンプ車です。荷台の後方が地面につくように傾けられるので、ミニショベルやフォークリフトなどの運搬にも使用されることがあります。
土砂などの運搬や、機械の運搬もできる汎用性の高いダンプ車です。荷台がスライドすることから、スライドダンプとも呼ばれています。
5. 三転ダンプ
荷台を、後ろと左右の三方向に傾けることができるダンプ車です。普通ダンプよりも、広い範囲に土砂などを降ろすことができます。
狭い工事現場や、交通量の多い通りの工事現場で使えるメリットはありますが、構造が複雑なため故障がしやすい、修理費が高いなどのデメリットもあります。
6. Lゲートダンプ
普通ダンプとは異なり、下側にリアゲートが開くダンプ車です。普通ダンプは、上側を支点にリアゲートが開きますが、Lゲートダンプはリアゲートが下側に開きます。
アオリと荷台がフラットになる設計です。開口部分に高さの制限がないため、大きな岩なども簡単に降ろすことができます。
7. 強化ダンプ
石や岩などの硬い荷を運搬するのに適しているダンプ車です。強化ダンプの荷台は床板が強化されており、通常の荷台に比べて強固なものになっています。
ダンプ車のその他情報
1. ダンプ車を運転する際に必要な免許
ダンプ車の運転には免許が必要ですが、ダンプ車の大きさによって免許の種類も変わります。また、ダンプ車の運転に必要なものや、ルールがあります。
準中型免許 (5t未満限定) ・準中型免許
道路交通法において、小型ダンプは、準中型免許 (5t未満限定) か、準中型免許が必要です。
中型免許
車両総重量が5t以上11t未満 (8t限定の場合は、8t未満) の中型ダンプの運転には中型免許が必要です。
大型免許
車両総重量が11t超の大型ダンプの運転には大型免許が必要です。
2. ダンプ車の表示番号
大型ダンプに区分される11t超えのダンプ車を公道で走行させるには、国土交通大臣の認可を得て表示番号を取得し、表示番号を車両につけることが決められています。また、最大積載量を超える荷物の運搬は、法律で禁止されています。