イーサネットケーブルとは
イーサネットケーブルとは、イーサ―ネットの規格に準拠した、通信用のケーブルの総称です。
イーサネットはコンピュータを始めとした情報通信機器をネットワークで繋ぎ、機器間でデータのやり取りを行うために定めた規格です。1980年にアメリカの電気電子学会 (IEEE) にて標準規格として公開されました。その後、工場やオフィス内を有線ケーブルでつなぐローカルネットワーク (LAN) の標準規格として世界中で受け入れられ、ネットワーク技術の進展と共に規格の改定が続けられてきました。
最初に普及したイーサ―ネットケーブルは1983年のIEEE802.3aの規格に準拠した10BASE5と呼ばれる太さが約1cmほどのケーブルでした。ケーブルの色は黄色が最も多く普及したことから、イーサネットケーブルはイエローケーブルとも言われています。
ケーブルの最長は500mと規定され、最大の通信速度は10Mbpsでした。ケーブル本体の規格と同時に、ケーブルの両端に付けるターミナルアダプタと、通信機器を接続するためにケーブルに取り付けるトランシーバーなども規格化されていました。
これ以降、イーサネットに関する規格の改定に合わせて、その規格に適合したケーブルが登場し、アダプタやコネクタ類も規格化され、規格に準拠した製品が開発されてきました。
イーサネットケーブルの使用用途
イーサネットは、ISO (国際標準化機構) が設けたコンピュータ同士が通信を行うための7階層からなるOSI参照モデルのうち、最下層の2レイヤに組み込まれています。
このうちイーサネットケーブルは最下層の物理層に係る標準規格となっています。したがって、コンピュータ同士を結ぶ有線LANで使用するケーブルは、特別な場合を除いて、全てイーサネットケーブルを使用しています。
一般的に、ユーザーがオフィスなどのLANに接続するためにつなぐケーブルは、UTPケーブルであり、ケーブルの先端についているコネクタはRJ45という規格のコネクタです。これらのケーブルやコネクタもイーサネットの規格に基づいています。
パソコンと周辺機器を繋ぐUSBケーブルや、映像機器との間で映像と音声を送る為に使用するHDMIケーブルなどはイーサネットケーブルではなく、それぞれの規格に基づいたものです。
イーサネットケーブルの原理
世界中のコンピュータや情報機器がネットワークを介して情報のやり取りをするためには、それぞれの機器が、世界標準となった規格に基づいたインターフェースを実装する必要があります。
ISOではOSI参照モデル (英: Open Systems Interconnection reference model) という7階層からなる標準プロトコルを定めています。この階層を下から順に並べると下記の通りです。
- 物理層
- データリンク層
- ネットワーク層
- トランスポート層
- セッション層
- プレゼンテーション層
- アプリケーション層
イーサネットは最下層の物理層と、下から2番目のデータリンク層の規格に組み入れられています。
物理層は、ケーブルや電気信号、コネクタの形状などについて規定しています。データリンク層では、0と1からなるデータをフレーム単位に分割し、送信先のアドレスを付与するなどの役割について規定しています。イーサネットケーブルは有線LANの領域において、これらのOSIの参照モデルに準拠したケーブルです。
2023年現在では、イーサネットケーブルの太さや形状、コネクタの形状に様々なタイプがありますが、それらは全て規格品となっています。従って、イーサネットケーブルに接続できるコンピューターや情報端末は、別の場所の有線LANにも容易に接続できる仕組みになっています。
イーサネットケーブルの種類
1980年代に最初のイーサネットケーブルが登場して以降、情報通信機器とネットワークは常に進歩してきました。それに伴いイーサネットの規格も適時改定され、ケーブルの種類が増え続けています。ケーブル本体は、同軸・メタルケーブルの他に電話線のように細いツイストペアケーブルや、光ファイバーケーブルを利用したものもあります。
イーサネットケーブルの規格は、ケーブルの材質や形状の違いだけではなく、通信速度、通信距離などの性能を含めた仕様で細かく分類され、IEEEの規格の中にも組み入れられています。
例えば、イーサネットの10BASE5という規格は10Mbpsの通信速度で、太さ約1cmの同軸ケーブルを使用しています。この規格はIEEEでは802.3aにて定義されていました。10GBASE-Tは通信速度が10Gbpsで、ケーブルにはツイストペアケーブルを使用しています。IEEEでは802.3anという規格にて定義されています。