デプスフィルター

デプスフィルターとは

デプスフィルターとは、濾過対象物をフィルターの表面ではなく、内部で捕捉し除去するタイプのフィルターです。

フィルター上部の孔径が大きく、下部に近づくにつれ孔径が小さくなるように構造設計されているため、内部で捕捉できます。一方で、表面で阻止するタイプのフィルターはスクリーンフィルターと呼ばれ、広く使われています。

スクリーンフィルターは表面に濾過対象物が蓄積され、次第に目詰まりが発生し流束が低下する点がデメリットです。その一方で、デプスフィルターは目詰まりを抑制し、高い濾過速度を維持できます。

デプスフィルターの使用用途

デプスフィルターは、化学工業や食品、医薬など各種産業の精製、濃縮、細菌や異物の除去を目的に使用されています。フィルター自体は浄水器などの分野で一般家庭でも利用されていますが、デプスフィルターは工業用途での前処理に使用されるのが一般的です。

通常、濾過によって濾過対象物や異物を除去する際は、孔径の異なるフィルターで複数回濾過を行います。これは目詰まりを極力抑えるために有効な工夫です。

デプスフィルターの特徴

デプスフィルターは、使用する種類によっては完全に除去できないという特徴を持ちます。最近ではガラスファイバーやセルロース繊維を材料に用いたフィルターもありますが、押し固めているだけのため厚みや密度調節が不十分な場合、異物が透過してしまいます。確実に異物を阻止したい場合は、孔径の勾配をつけたデプスフィルターを使用することが必要です。

なお、デプスフィルターの最大のメリットは目詰まりを抑制し、高い流束を維持できることです。高い濾過速度を維持することで、生産効率やメンテナンスコストを改善できます。

一方で、デプスフィルターの種類によっては完全に阻止できないことや再利用が困難であることがデメリットとして挙げられます。スクリーンフィルターの場合は、表面を洗浄し再利用することもありますが、デプスフィルターは洗浄することが困難なため使い捨てになります。そのため、シングルユースを基本とする医薬分野に使用される場合が多いです。

デプスフィルターの選び方

1. 使用目的

フィルターを使用する具体的な目的を明確にします。例えば、液体の浄化、粒子の分離、空気の清浄化、音声フィルタリングなど、目的に応じて選択するフィルターは異なります。デプスフィルターのメリットデメリットを理解した上で、使用目的に合うものを選ぶことが重要です。

2. フィルターの材料

フィルターの材料には紙、繊維、金属、活性炭、セラミックなどがあり、使用環境や対象物質に合わせて選択することが大切です。異物の除去率や耐久性などそれぞれの材料で特徴が異なるため、どの材料で作られているか明確にします。

3. 対象物質の性質

フィルターを通過する対象物質 (液体、気体、粒子の種類、サイズ、濃度 ) によって、適切なフィルターの微細度や孔のサイズを選びます。対象物質が微小な粒子である場合は微細なフィルターが必要で、微小でない場合は適切なものを選びます。

4. 環境条件・耐久性

フィルターが使用される環境条件 (温度、圧力、化学的な耐性など) に合致する材料や構造を選択します。特に、極端な環境条件下での使用では耐久性が重要です。耐久性が低いとフィルタ交換の頻度が上がり、手間や工数だけでなく、運用コストもかかってしまいます。

5. 流量要件

フィルターを通過する流体やガスの流量に応じて、適切なフィルターサイズと設計を選びます。高い流量が必要な場合は、大容量のフィルターが必要です。

6. メンテナンス要件・コスト効率

フィルターの交換や清掃頻度に応じて、メンテナンスが容易で経済的なフィルターを選択します。高性能なフィルターは高コストですが、目的と予算に応じた最適なバランスを見つける必要があります。

7. 認証基準

特定の業界や用途には、安全性や品質の基準が存在することがあります。適切な認証を持つフィルターを選ぶ必要があります。

参考文献
https://m-hub.jp/
https://jp.images-monotaro.com/etc/pdf/membrane.pdf

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