みのむしクリップとは
みのむしクリップとは、電気工作などで一時的に電源線や信号線を接続するために使用する器具です。
接点がわにの口のように挟み込む構造となっています。接点は塩化ビニルなどの絶縁体のカバーで覆われていて、その形がみのむしに似ているのが名前の由来です。
みのむしクリップは、外れやすい欠点もあり、配線の長期的な接続には向いていません。主に弱電用であり、回線のテストや一時的な接続に使用されます。
みのむしクリップの使用用途
みのむしクリップは電気工作や学校の理科の実験などで、一時的に配線をつなぐために使用します。接続する電源線や信号線をみのむしクリップに取り付けておいて、クリップ部分で接続相手の端子やケーブルを挟みます。
みのむしクリップが使われる主な理由は2つあり、1つ目はクリップを指でつまむだけで配線の接続や切り離しが簡単にできること、2つ目はクリップの大部分を覆う塩化ビニルが絶縁機能を担うので狭い間隔でも他の配線とのショートを防げることです。
その一方で、クリップは弱い力や振動で外れる可能性があるため、恒常的な配線の接続には向いていません。みのむしクリップは主に弱電回路で使用します。
みのむしクリップを使う代表的な接続は、直流の電源への接続です。この場合、赤色のみのむしクリップに赤いリード線をつなげて電源のプラス極につなぎ、黒色のみのむしクリップに黒いリード線をつなげてマイナス極につなぎます。
みのむしクリップの原理
みのむしクリップは、ワニの口のように開く金属の接続端子で端子や接点を挟むことで回路を接続します。この接続端子のことをワニ口クリップとも言います。
しかし、ワニ口クリップのように接続端子がむき出しだとショートの恐れがあるため、みのむしクリップでは接続端子の前端を除く多くの部分を塩化ビニルなどの絶縁体で覆っているのが特徴です。なお、クリップの後端には穴が開けられています。
この穴にリード線の銅線を巻き付けたり、半だ付けをします。リード線のもう一方の端には、同じようにみのむしクリップを付けるか、下記に記すような他の端子を付けて、一時的な配線に使用します。
みのむしクリップのその他情報
1. みのむしクリップを使ったワイヤーの種類
みのむしクリップを使ったワイヤー製品には、両端の端子形状が異なるもの (一端がみのむしクリップ、他端がバナナプラグなど) があります。
両側みのむしクリップタイプのワイヤー
開発の現場でテスト時の接続等でよく見かけます。安価で自作するのも容易ですがあまり大きな電流を流せないという特徴があります。
片側がUSB端子のワイヤー
片側がUSB端子のオスまたはメスで、反対側に先端がみのむしクリップの赤黒ケーブルがついているものがあります。これはスマートフォン用などで使用するUSB充電器や、USB出力端子を持つ太陽電池パネルや蓄電池、モバイルバッテリーなどから、電源を取ることができるように作られています。
片側がBNC端子のワイヤー
細いワイヤーではなく、同軸ケーブルの片側がみのむしクリップとなっているタイプのものも市販されています。このケーブルは反対側がBNC端子になっていて、オシロスコープやファンクションジェネレータなど入出力にBNCコネクタを装備している測定機に、測定対象の機器を接続するために使用します。
片側シガーソケットのワイヤー
片側が12Vのシガーソケットになっているタイプで、シガーソケットに接続し、12V製品の動作確認を行うためのものです。主にカー用品等の製品設置前の通電チェックなどに用いられます。
低周波治療器・鍼電極低周波治療器用ケーブル
鍼灸院などの医療施設に置いてある低周波治療器・鍼電極低周波治療器用のケーブルも先端がみのむしクリップになっています。治療用の針から電気を流すために使用します。
2. 色分けによる使い分け
みのむしクリップには、あらかじめ同じ色のリード線が付属したものも市販されています。その場合、赤がプラス、黒がマイナスの電源ケーブルとして使用されるのが一般的です。
その他には、信号ケーブル用に、黄、緑、青、白などの色をしたみのむしクリップなどがあります。
3. みのむしクリップを使ったワイヤーの作り方
リード線を接続して両側みのむしクリップワイヤーを作る手順は以下の通りです。
- 購入したクリップから塩化ビニルを外します。
- リード線の先端を剥き、クリップの後部にある穴に剥いた先端を通します。
- リード線の先端とワニ口の穴を半田で接続します。
- クリップに塩化ビニルを戻します。リード線の両側に1~4と同様の処理をすると両側みのむしクリップワイヤーの完成です。
参考文献
https://kenshoku-bank.com/column/1584/
https://www.monotaro.com/s/pages/readingseries/testerkiso_0202/
http://fs-machining-and-experimentroom.blogspot.com/2015/03/blog-post_15.html