電界プローブ

電界プローブとは

電界プローブ (英: Electric Field Probe) とは、空間内の電界強度を測定するためのプローブです。

電界プローブは、電界の強度に応じて信号を発生させます。スペクトラムアナライザやオシロスコープに接続して、主に電磁波の測定、例えばEMC (電磁両立性) 試験、無線通信、アンテナの評価などに使用されます。電界の大きさ、方向、周波数特性などを測定することで、電磁波環境の評価や解析が可能になります。

電界プローブの使用用途

電界プローブはさまざまな分野で使用されますが、主な用途は以下の通りです。

  • EMC試験
    磁界プローブでの測定と合わせて、電子機器の放射エミッションやイミュニティ試験の際に使われます。
  • 無線通信
    基地局やアンテナの性能評価の際に電界強度を検出するため用いられます。
  • 医療機器の試験
    MRIや心臓ペースメーカーへの電界の影響を評価する場合などに用いられます。
  • 研究開発
    大学や研究機関での電磁波伝播の研究など、基礎的研究の場でも活躍します。

電界プローブの原理

電界プローブは、空間の電界成分を検出するセンサーで構成されます。基本的な構造としてプローブ先端に導体が設置されていますが、この導体が電界を受けると静電誘導により誘導電流が流れることから、その誘導電流を電界強度として出力する仕組みです。

電界プローブの種類

電界プローブは用途や測定環境に応じて以下のような種類に分類されます。異なる種類のプローブを目的に応じて使い分けることで、正確な電場評価が可能です。

1. 静電型電界プローブ (E-Field Probe)

静電場や低周波の電場を測定する際に適するもので、検出部には金属板やロッドアンテナが採用されています。

2. ダイポール型プローブ (Dipole Antenna Probe) 

1/2波長のダイポールアンテナを基礎としたプローブで、電磁波の電場成分を広帯域で測定できます。主に無線通信、アンテナ設計の評価に利用されます。

3. 平面型電界プローブ (Planar E-Field Probe)

平面状の導体を使い、広範囲の電場分布を測定する際に用いられます。基板上の電場ノイズ分布の測定など放射性ノイズの発生源調査に有効なプローブです。

4. 光ファイバー型電界プローブ (Optical E-Field Probe)

電場信号を光信号に変換して伝送することで、電気的な干渉を受けにくいプローブです。EMC試験、無線通信の評価などが主な用途です。

5. 広帯域電界プローブ (Broadband E-Field Probe)

広い周波数帯域に対応し、かつ校正された精密な測定が可能なもプローブです。EMC試験や電磁波暴露測定時に使用されます。

6. モノポール型プローブ(Monopole Probe)

一方向に突き出したロッド状の構造で、小型機器の内部や回路基板上の電場測定に適しています。具体的な用途としてPCB上の局所ノイズ源を検出する場合などが挙げられます。

電界プローブのその他情報

1. 使用上の注意事項

電界プローブを使用する際には、以下の点に注意する必要があります。

1. キャリブレーション
正確な測定には定期的な校正が必要です。

2. 配置と向き
プローブの位置や向きは測定結果に影響するため、充分配慮する必要があります。

3. ノイズと干渉
周囲の電磁ノイズが誤差を引き起こす可能性があるため、シールドルーム内など被測定物を遮蔽した環境で測定することが望ましいです。

4. 過負荷保護
高電界環境ではプローブが損傷することがあるため、適切な測定レンジの選択が重要です。

2. 電界プローブの進化

電界プローブは、電磁波環境の測定と解析に欠かせない重要な機器です。近年の技術革新で、より高精度で使いやすいモデルが登場し進化を続けており、今後も多様な応用分野での利用が期待されています。最近は次のような進展が見られます。

1. 小型・軽量化
ポータブルなモデルが増え、現場での使用が容易になっています。

2. 高周波対応の拡張
ミリ波帯やテラヘルツ帯域まで測定可能なプローブが開発されています。

3. ワイヤレスデータ伝送
プローブからのデータをリアルタイムで無線送信する機能が導入され、ケーブルの這い回しの制約から逃れられるものがあります。

参考文献
https://www.toyo.co.jp/emc/products/detail/?id=1784
https://www.keisokuten.jp/products/maker205.html

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