ライン引きとは
ライン引きとは、畝作りや種播き、苗植えなどの作業に使用され、畑の整備に欠かせない道具の1つです。
ライン引きの道具は「ラインナー」とも呼ばれており、畑に直線を引く作業を「線引き」や「縄ずり」と言うこともあります。また、ライン引きというと、一般的には、学校のグラウンドなどに白線を引く器具を指すことが多いですが、本記事では農業で使用する道具であるライン引きについて解説します。
ライン引きの使用用途
ライン引きは、畑の土を細長く盛り上げる「畝作り」の前に直線ラインを引きたい場合や、種播き、苗植えなどの前に目印を付けるために使用されます。ライン引きは、付けた直線に合わせて耕運機で畝立てをしたり、種播きや苗を植えたりするのに便利です。
ほかにも、株間 (かぶま) に印をつけることで、その後の植え付け作業が容易になります。また、圃場に直線を引くことで、種播きや苗植えを均等に行うことが可能で、畝を美しく整えられます。
ライン引きの特徴
ライン引きの特徴は、人力で引っ張りながら直線が引ける点にあり、ガソリンなどの燃料は一切不要です。
長所
- 正確な区画設定が可能
- 作業効率が向上する
- 一定の幅で一気に作業ができる
- 手作業に比べ、楽に作業できる
ライン引きの最大の長所として、正確に区画設定できる点が挙げられます。作物の栽培面積を線引きして調整することで、より効率的に栽培を行えます。また、ライン引きを使用することで、手作業に比べて楽に作業を行えるのも大きな長所です。
さらに、ライン引きで直線を引くことにより、畝同士を真っすぐに一定間隔で作れるため、摘果や収穫作業時にも便利です。
短所
- 使い方に慣れるまで経験が必要
- 初期投資が必要
- 一定の精度が必要
- 雑草で作業効率が悪くなる
長所がある一方で、ライン引きの短所としては、使い方に慣れるまでに多少の経験と時間を要することや、初期投資が必要であることが挙げられます。
また、ライン引き本体のガタツキや爪部に破損があるなど、状態が悪いライン引きを使用したり、雑草が引っかかったりすると、作業効率が悪くなる可能性があるので注意してください。
ライン引きの種類
ライン引きの道具を販売する会社は少ないことから、種類はあまり多くありません。サイズはいくつかあり、全幅1.4~4m前後の製品が販売されています。また、ライン引きの素材は、軽量素材であるアルミ製を使ったタイプのほか、錆びにくいスチール製があります。
ライン引きの基本的な形状は同じで、1人で持ち手を持ち、引っ張ることで容易に直線を引ける構造です。地面に溝を付ける「爪部」は、希望する条間に応じて自在にスライドできるようになっており、交換もできます。
また、ライン引きは簡単に組み立て・取り外しができるため、移動時は軽トラなどへの積載が可能です。
ライン引きの選び方
ライン引きの選び方は、圃場面積や一度に直線を引きたい幅に応じて選びます。また、ラインを引く作業は基本的に1人作業のため、肉体的な作業負担も考慮し、適したサイズのライン引きを選んでください。
なお、ライン引きの製品は、引っ張る方向が後ろ向きに限定されたもの、前向き・後ろ向きのどちらにもチェンジできるタイプがあります。後ろ向きで進むのが苦手な場合は、両方向に対応したライン引きを選ぶことをおすすめします。
ライン引きのその他情報
1. ライン引き使用時の注意点
ライン引きには、いくつかの注意点があります。ライン引きの使用前に、できるだけ地面の凸凹をなくし、平らであることが望ましいです。また、ライン引きを使う際には、なるべく引きの力を均等にかけるようにすることで、正確な直線が引きやすくなります。
2. ライン引きの代替品
市販されるライン引きの価格は、全幅が広くなるほど高くなり、3~6万円程度です。経費を極力削減したい場合は、ライン引きの簡易版とも言える「田引車」を用いることもできます。ただし、ライン引きのように一気に何本もの直線を引くことはできず、1本ずつ直線を引くことになります。
また、小規模農家や家庭菜園など圃場面積が狭い場合は、自作のライン引きを作ることも可能です。ホースリールやロープ巻き取り器に、ロープを100mほど巻き付けるだけなので、容易に自作できます。