超電導ケーブル

超電導ケーブルとは

超電導ケーブルとは、電気抵抗がない導体を使用して電力を送電するためのケーブルです。

現時点では技術的に実用化されていますが、商用化されて一般に広まるまでには冷却システムの技術確立やケーブル間の接続技術の確立などの課題があります。

超電導ケーブルは理論的には電気抵抗がないため、送電による損失が発生しません。そのため長距離の送電システムを構築可能です。しかし実際には交流送電を大電流で行うと、現行のケーブル程ではないもののケーブル損失が発生します。

超電導ケーブルの使用用途

超電導技術を応用して作られた超電導ケーブルの使用目的は電力の送電です。

理論的には超電導ケーブルによる大電力送電を行っても、ケーブルに電気抵抗がないため発熱がなく、電圧降下も発生しません。このため送電距離に関係なく大電力を送電可能です。しかし実際には僅かな損失があり、交流損失と呼ばれます。

超電導ケーブルを使用して交流送電を行う場合、僅かな損失はありますが、従来の銅製ケーブルと比較すると送電損失を約95%削減可能です。 

超電導ケーブルの原理

理論的に超電導ケーブルの抵抗値は0であり、送電ケーブルの断面積を非常に小さくできます。このため、電力送電インフラである巨大な送電施設や送電鉄塔、送電ケーブルなどをすべて小型化でき、メリットが非常に大きいです。

長距離送電で電圧降下がないため、現在のような高電圧送電ではなく低圧でも大電力を送電可能になります。現在では電力送電を交流で行っていますが、超電導ケーブルを使用すると直流電力送電を行うことが可能です。

超電導ケーブルを使用した直流送電は実験段階ですが、日本国内だけではなく世界中で技術開発が進められています。

超電導ケーブルの種類

イットリウム系の超電導ケーブルは液体窒素によって超電導になる材料です。臨界電流が高く磁界特性が良いため、電力ケーブルや変圧器のような超電導電力機器用の線材としての応用が期待できます。高効率送電技術として従来のケーブルより、送電損失をおよそ4分の1に低減可能です。大容量の超電導ケーブルだけでなく、コンパクトで軽量なケーブルもあります。

超電導ケーブルの選び方

超電導ケーブルは非常に少ない損失で大電力を送電できますが、超電導ケーブルには解決しなければならない問題があります。

超電導ケーブルを使用して交流送電を行うと、ケーブル損失が発生します。このケーブル損失も送電する電力量で変化するため、大電力を送電する場合には対応が必要です。また、現在では超伝導の臨界温度が-196°Cと上がっていますが、液体窒素などで冷却するシステムの技術の確立が重要です。

太陽光発電などの自然エネルギー発電の多くは直流であり、発電した電力を交流に変換して送電し、一般家庭まで送電した後、再度直流変換して使用しています。超電導ケーブルによる直流送電では、交流送電に対して送電損失を半分程度に抑えられます。

超電導ケーブルの構造

高温超電導線材を使った超電導ケーブルは、ケーブルの中心のフォーマの周囲に螺旋状にテープの超電導線材が多層巻き付けられ、超電導導体層が作られています。フォーマはケーブルの機械的強度を担い、電力系統事故で生じた電流を通電するバイパスとして働く銅より線です。

超電導導体層の外側には電気的な絶縁材料を巻き付けられ、電気絶縁層が作られています。その上の超電導シールド層には螺旋状に超電導線材が巻き付いています。

超電導シールド層には逆向きの誘導電流が流れ、外側に磁界を漏らさない状態で超電導導体層を流れた電流による磁界を遮蔽することが可能です。外側には銅線で構成される保護層があり、一相分のケーブルコアが形成され、断熱管の中に収納されています。断熱管はステンレス製の波付け管による2重管構造で、真空状態を保って外部からの侵入熱を防ぎます。

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