ムッフとは
支柱にクランメルやOリングを垂直に取り付ける際に使う、接続用の金具です。棒状のものをネジで締めて固定するだけの簡素な作りなので、実験内容に応じて臨機応変に組み立て・解体できるのが長所です。しかし一方で、必要以上に径の大きいムッフを選んでしまうと、ネジの締め付けが緩くなり実験器具が落下する危険性があります。固定したい棒の太さに合わせ、適切なサイズを選びましょう。
材質は亜鉛合金が一般的です。薬品耐性を求めるのであればステンレス製もありますが、やや高額です。
ムッフの使用用途
分液ろうとを固定するときや、試験管を一定の角度で保持したいときなどに、クランメルやOリングがあると便利です。そしてクランメルやOリングを支柱に固定して実験装置を組み立てるとき、必須になるのがムッフです。
ムッフには棒状の部品を通せる溝(または穴)が2つあり、互いに垂直に走っています。この溝の一方に支柱を、もう一方にクランメルの柄を通してネジで締めつければ、支柱に対し垂直にクランメルを取り付けられます。
ムッフの原理
ムッフの構造は「棒を通す溝(または穴)」と、「締め付けて固定するためのネジ」から成ります。ムッフを選ぶ際は、以下の点に留意します。
- 適合パイプ径
支柱やクランメルの柄など固定するものに対し、ムッフの溝の径が小さければ当然溝に通すことができません。一方、溝の径が大きすぎるとネジの締め付けが緩くなり、実験器具が落下する危険性があります。ムッフの溝の直径は、固定する棒状部品の直径の+1cm以内が無難です。 - ネジが正常に動くか
ムッフの材質は亜鉛合金が一般的です。亜鉛合金は真鍮や鉄などよりは薬品体制が強いものの、酸が付着したまま放置されていると腐食が進みます。使用前にネジの緩みやネジ山の摩耗・腐食がないか確認しておきましょう。使用後は水洗いして乾燥させておくと長持ちします。
なお、亜鉛合金より薬品耐性の高いステンレス製のムッフもありますが、亜鉛合金製に比べ2倍程度の値段がします。ドラフト内など薬品が触れやすい場所で長期間使用するのであれば、ステンレス製の方が安全でしょう。