応力測定器

応力測定器とは

応力測定器とは、素材にどのような応力がかかっているかを調べる機器のことです。

応力を測定する機械には目的に応じて、いくつかの種類がありますが、ここでは応力を測定する機械全般について説明します。応力には圧縮応力と引張応力とがありますが、どちらの応力でも高すぎると、部品の損傷に繋がりかねません。応力は機械的な外力によって発生するもの以外にも、熱処理や成膜形成などによって、1つの部品自体に生じている残留応力もあります。

ガラスの強化や鉄鋼材料の強化は、製品の表面に意図的に残留圧縮応力を生じさせることによって、製品の強度を高めています。

応力測定器の使用用途

応力測定器は製品開発の分野から、熱処理、成膜やガラス強化の分野などでも用いられています。研究開発領域においては、部品に発生する応力を知ることによって部品の強度を確認したり、逆に無駄な形状を減らすことによって軽量化やコスト低減を実現したりします。

半導体産業ではシリコンウェハ上に各種薄膜の成膜が行われますが、成膜によって製品には応力が発生します。過度な応力は膜剥がれを起こしてしまうため、応力測定による品質管理が大変重要です。

また、ガラスを強化する際には、表面付近の圧縮応力が増大することで強度が上げており、強化処理後の応力測定も行われます。

応力測定器の原理

応力測定器の原理は、測定方法によって異なりますが、いずれも測定する対象物に生じている歪みを検出しています。歪みとは物体が外力を受けて、伸びたり縮んだり、捻れたり、変形することです。

また、応力は単位面積あたりに生じている力ですが、外力によって生じた歪みと、その物質のヤング率との積によって算出されます。よって応力測定器は応力を直接測定するのではなく、外力によって物質に生じた歪みの大きさを捉え、ヤング率と掛け合わせることによって応力値に換算するのが一般的です。

歪みの検知方法には複数の種類があり、それぞれの原理を利用した応力測定器が開発されています。

応力測定器の種類

応力測定器には測定する製品や応力の大きさによって、複数のタイプがあります。代表的な種類は以下の4つです。

1. 歪みゲージ

歪みゲージは、構造用部品などの応力測定に用いられます。貼り付けた部分の歪みを、電気抵抗の変化から検出する装置です。歪みゲージによる応力測定は、歪みゲージを貼り付けた部位しか測定できません。

また、歪みゲージは貼り付ける位置だけでなく、貼り付ける方向も重要です。CAEによる構造解析の検証として用いられることもあります。

2. 赤外線検出

赤外線応力測定も、歪みゲージと同様に構造用部品の応力測定に用いられる方法です。物質は、外力によって変形すると熱弾性効果によって表面の温度が変化します。

赤外線応力測定は歪みによって物体表面に生じた温度の変化から、応力を検知する装置です。歪みゲージは貼り付けたポイントだけの応力しかわかりませんが、赤外線応力測定なら広範囲の測定が可能です。

3. レーザー光反射

薄膜の成膜などの応力測定に用いられるのは、レーザー光の反射を利用した応力測定です。レーザー光の反射を成膜前後で比較することによって、基板の反りによる曲率半径の変化を求め、成膜によって生じた膜応力に換算する方法です。半導体のシリコンウェハや強化ガラスの評価にも、レーザー光による応力測定が使われます。

4. X線回折

X線回折による応力測定は、鉄鋼材料の熱処理や表面処理によって生じる残留圧縮応力の測定などに用いられます。X線回折は原子が規則正しく並んでいる物質に、原子同士の間隔と同じ程度の波長を持つX線を照射し、散乱するX線の回折を利用する測定方法です。

X線回折は応力測定だけでなく、物質の定性分析や定量分析、結晶サイズや格子歪みの算出など、さまざまな分析に用いられます。

参考文献
https://www.toho-tec.co.jp/products/inspection/inspection/flx/
https://www.jpu.or.jp/products-index/bi-ref-index/

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