鉄線とは
鉄線とは、鉄を線状に長く伸ばしたもので、俗称「はりがね」と言われます。鉄線と鋼線は、いずれも鉄鋼を原料としますが、このうち鉄線は低炭素鋼の軟鋼材を伸線したものが一般的です。
鉄線は冷間加工で伸線されますが、さらに亜鉛などのめっき、樹脂のコーティングや熱処理、ローラなどによる異形加工等が行われます。鉄線の製造に使われる素材は、JIS規格化されている軟鋼線材などを使用します。鉄線もJIS規格のものが多く、鉄線、合成樹脂被覆鉄線や着色塗装亜鉛めっき鉄線などがあります。また、溶融アルミニュウムめっき鉄線及び鋼線、亜鉛めっき鉄線やフェンス用亜鉛めっき鉄線及び鋼線もJIS規格化されています。
鉄線の使用用途
鉄線の種類は多くあり、普通鉄線は一般用、めっきや溶接などに使われます。くぎ用鉄線もあります。なまし鉄線は一般用、金網、及び結束などの用途があります。コンクリート鉄線は溶接金網やコンクリートの補強に使われます。
なまし鉄線は、鉄線を焼鈍加工したものです。結束などに向いており、型枠には#10、足場や仮設には♯12,鉄筋の結束には♯21が多く使われます。電気工事にはバインド線が使用されます。鉄バインド線の太さは、0.9, 1.2, 1.6mmなどが規格化され、亜鉛めっきをしてビニール樹脂被覆した線を、電線やケーブルの支持固定、及び電線管への電線引き入れ時の呼び線などに使用されます。
有刺鉄線は、先端を尖らせた金属のとげを一定間隔で巻き付けた鉄線であり、不法侵入防止や農作物の保護などに使われます。
鉄線の特徴
鉄線は錆びやすいので、めっき、表面処理や塗装、樹脂コーティングなどで保護したものが多く使われます。多くの用途がある亜鉛めっきは、鉄と亜鉛とは高温下で合金を作りやすく、鉄線の界面で鉄亜鉛合金層が形成される特徴があります。この合金層は硬度が高く鉄線を外部環境から遮断するのみでなく、亜鉛が優先的に溶けだして鉄の腐食を防ぐ機能をもっています。この層の厚さが亜鉛めっき鉄線の寿命を左右し、寿命が長くなり交換が減少するので経済的といえます。
なまし鉄線は、焼鈍加工と言って、鉄線を加熱した後、徐々に冷却することにより、弾性限度や強度は低下しますが、伸び特性が増加した鉄線です。したがって変形しやすいので、結束や金網に適しています。
鉄線の製造は年々合理化され、コスト低減に寄与しています。なまし鉄線では、軟鋼の素材を酸洗い処理し、皮膜処理した後、冷間引抜伸線をします。そして軟化焼鈍を行い、3次加工して完成させます。これらの工程が連結・自動化されています。