軸受鋼

軸受鋼とは

軸受鋼

軸受鋼とは、軸受に使用される鋼のことです。

JIS G 4805 (高炭素クロム軸受鋼) をはじめ、JIS G 4051 (機械構造用炭素鋼鋼材) JIS G 4053 (機械構造用合金鋼材) JIS G 4303 (ステンレス鋼棒) で規定された材料を軸受の材料、すなわち軸受鋼として使用しています。

軸受鋼に求められるのは「耐荷重」「耐摩耗性」「焼入性」「耐食性」で、使用する環境条件に応じて、炭素、クロムなどの添加と、熱処理、圧延などにより、高清浄や鋼中酸素量を低減、非金属介在物を微細化することにより、軸受の高寿命化を図っています。

軸受鋼の使用用途

軸受は回転体を支えるもので主にころ軸受と玉軸受があります。ころは円筒状、玉は球状のものが円筒形状の中でころがりながら、回転体を支えています。ころや玉は回転体の重みを受けながら線状、または点状に接触しますが、接触部は高い荷重がかかります。そこで大きい荷重に耐えるために開発されたのが軸受鋼です。主な加工方法としては以下です。

  • 鍛造または圧延によって、セメンタイトの粗大な網目組織を破砕した後、加熱して再結晶化により結晶粒を微細化する。
  • さらに球状化焼きなましをした後、焼入れ、または低温で焼き戻しを行う。

軸受鋼のその他情報

軸受に使用される材料の種類

軸受に使用される材料の種類は、次の通りです。

1. 高炭素クロム軸受鋼
SUJと呼ばれる材質で、表面だけではなく内部まで硬くしています。調質が容易で、球状化焼きなましで被削性を向上しているのが特徴です。JISではSUJ2からSUJ5まで分類されています。SUJ2からSUJ5に数値が大きくなるほど焼入れ性が高いです。

SUJ2は高炭素クロム鋼の中で90%以上使用されており、SUJ3はSUJ2に対してSiとMnの割合を増やし、Crを減らすことで焼入れ性を向上した種類です。SUJ5はSUJ3にMoを加えることで、さらに焼入れ性を向上させた種類で、大型の玉やころ、レースなど強度に対応しています。

2. 肌焼合金鋼系軸受用鋼
浸炭を施すことで、高炭素クロム軸受と同等の硬さと耐摩耗性を維持しつつ、内部に靭性を持つことが特徴です。

3. 耐食鋼系軸受用鋼
耐食性と耐摩耗性に優れており、材料の腐食が進行しやすい化学工場で使用されます。

4. 耐熱鋼系軸受用鋼
寸法安定性が良好で、高温環境で使用されます。

5. 中炭素鋼系軸受用鋼
高い硬さが求められる部分に高周波焼入れが施されており、自動車のハブユニット軸受や直線運動軸受などに多く使用されます。

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