単能盤とは
単能盤とは、特定の加工を大量かつ高速に実施することに特化した自動旋盤です。
汎用旋盤やNC旋盤が多種多様な形状の加工に対応できるのに対し、単能盤は一つの決められた加工を連続して行う能力に優れています。あらかじめ設定されたカムや簡易的なプログラム制御によって刃物を動かし、供給された金属材料を次々と削り出していく仕組みです。
単能盤の特徴は圧倒的な生産スピードとコストパフォーマンスの高さです。複雑な形状を削り出すためには複数の刃物を持ち替える時間が必要ですが、単能盤は工程を単純化することで無駄な時間を極限まで削減します。したがって、同じ部品を製造するシーンで単能盤はその真価を発揮します。近年では数値制御を取り入れたNC単能盤も普及しており、段取り替えの利便性も向上しています。
単能盤の使用用途
単能盤は以下のような用途で使用します。
1. 自動車
自動車には数万点もの部品が使用されており、その中にはカラーやピンといった単純な形状の金属部品も多くあります。高い安全性が求められる自動車部品は、大量生産であっても個体差のない均一な品質が必須です。単能盤は設定した動作を正確に繰り返すため、こうしたエンジン周りや足回りに使用される小さな金属部品を安定した品質で製造できます。
2. 電子機器・通信機器
スマートフォンや家電製品の内部には、電気信号をつなぐためのコネクタや端子が無数に組み込まれています。これらの部品は非常に小さく、精密な寸法精度が要求されます。単能盤は細い棒材からの削り出しを得意としており、真鍮や銅などの素材を用いて微細な接続ピンを高速で削り出す工程に適しています。
3. 医療機器・精密機器
医療用の注射針や、時計などの精密機器に使用される微細な部品の加工にも単能盤が利用されます。単能盤は構造がシンプルであるため、機械自体の振動が少なく、硬い金属素材であっても高精度に仕上げます。単純な形状ながらも高い精度が必要とされるシャフトやスペーサーといった部品製造においては単能盤が有利です。