防爆スマートフォン

防爆スマートフォンとは

防爆スマートフォンとは、爆発の危険がある場所でも安全に使用できるスマートフォンです。

可燃性ガスや引火性の粉塵などが存在する環境下では、一般的な電子機器が発する電気火花が着火源となり、爆発事故や火災を引き起こすリスクがあります。通常のスマートフォンはこのような危険場所での使用を想定していないため、これらのエリアへ持ち込むことは厳しく制限されています。こうした課題を解決するために開発されたのが防爆スマートフォンです。

防爆スマートフォンは電気で火花を発生させない特殊な設計が施されています。また、容器内部で爆発が生じても外部のガスに引火させない耐圧防爆構造を有します。過酷な現場環境に耐えるように、落下衝撃への耐性や高い防水・防塵性能も兼ね備えます。

防爆スマートフォンの使用用途

防爆スマートフォンは以下のような用途で使用します。

1. 連絡・通信

石油化学プラントなどの爆発リスクがあるエリアの連絡手段は、トランシーバーでは音声通話に限られていました。本スマートフォンを活用することで、チャットツールを用いた文字情報の伝達や図面データの共有が可能です。また、GPS機能や内蔵センサーを活用すれば、作業員の現在位置や動態をリアルタイムで把握できます。

2. 点検業務の効率化

工場内のメーター検針や設備点検において、紙の帳票をデジタル化するために導入します。専用アプリが入った端末を現場に持ち込み、点検結果をその場で入力してサーバーへ送信できます。パソコンへの転記作業が不要になるため、書き間違いや入力ミスを防ぎ、業務時間を短縮します。

3. 遠隔支援

ビデオ通話機能やAR技術を組み合わせた遠隔作業支援ツールとしての利用も進んでいます。現場の作業員がスマートフォンのカメラで映し出した映像を、離れた場所にいる本部の熟練技術者がリアルタイムで確認できます。これにより、高度な専門知識が必要なトラブルでも迅速に対応が可能です。移動コストの削減やダウンタイムの短縮だけでなく、技術継承や人材育成の面でも大きな効果を発揮します。