耐震工事

耐震工事とは

耐震工事とは、建物が地震により受ける揺れや倒壊リスクを低減するために行う補強工事です。

建物の構造強度を高めるため、壁・柱・梁の補強・基礎の補強・耐震金物の設置など、建物の状況に応じた多様な工法が採用されます。

耐震工事は、既存の建物の耐震性能を向上させる耐震補強の工事が主で、鉄筋コンクリート造・鉄骨造・木造など建物の構造種別に合わせて適切な方法が選ばれます。たとえば、木造では筋交い追加や構造用合板の施工・鉄骨造ではブレース補強・鉄筋コンクリート造では耐震壁の設置や炭素繊維シート ( CFRP ) 補強などが一般的に行われています。大規模な地震に備えた安全性の確保だけでなく、建物の資産価値の維持にも有効です。また、国や自治体の補助金の対象となる場合も多く、幅広い建物で導入が進んでいます。

耐震工事の用途

耐震工事は、主に以下のような用途で実施されています。

1. 住宅の耐震補強

老朽化した木造住宅や旧耐震基準で建てられた住宅に対して行われます。筋交い追加・壁補強・金物の交換などにより耐震性を向上し、地震時の倒壊リスクを大幅に低減します。

2. 学校・公共施設の耐震改修

避難所として利用されることの多い施設では、安全の確保のため耐震工事が必須となります。耐震壁の設置や柱補強を行い、大規模な地震でも崩壊しない強固な構造をつくります。

3. 商業施設・オフィスビルの補強工事

多数の人が利用する建物では、構造体の補強により地震時の被害を抑え、事業の継続性 ( BCP ) の向上に寄与します。ブレース補強や柱巻き立て工法などが多く採用されます。

4. 工場・倉庫の耐震補強

製造ラインや大型設備を抱える建物では、耐震性の向上により設備の転倒・損壊リスクを軽減します。基礎補強や鉄骨フレーム追加により、安定した操業を支援します。

5. 歴史的な建造物・文化財の耐震工事

外観をそのまま保持しながら内部構造を補強する工法が用いられ、文化的な価値を保ちつつ安全性を高めます。炭素繊維の補強や免震装置の導入などが代表的です。