マイクロディスペンサー

マイクロディスペンサーとは

マイクロディスペンサーとは、マイクロリットル単位のごく微量の液体を正確に吐出する装置です。

目に見えないほど少ない量の液体を、決められた位置へ正確に供給できる治具・装置です。製品の小型化や高機能化が進む現代の製造現場において、その重要性はますます高まっています。

大きく分けて接触式と非接触式の2種類の吐出方式が存在します。接触式は、塗布したい対象物に細いノズルの先端を直接触れさせて液体を移す方法です。粘り気の強い液体でも安定して塗布できますが、対象物に傷をつけたりノズルが摩耗したりする可能性があります。一方で非接触式は、液体を霧状または微小液滴にして飛ばして塗布する方法です。対象物に触れないため、デリケートな部品や複雑な形状の箇所にも高速で塗布可能です。

マイクロディスペンサーの使用用途

マイクロディスペンサーは以下のような用途で使用されます。

1. 電子機器

スマートフォンやパソコンなどの電子機器の製造において、マイクロディスペンサーは不可欠な存在です。心臓部である半導体チップを基板に実装する際、チップと基板のわずかな隙間を樹脂で埋める工程で使用されます。これにより、衝撃や熱から精密なチップを保護し、製品の信頼性を高めます。またカメラモジュールを組み立てる際のレンズの固定など、ミリメートル以下の精度が求められる多くの場面で活躍します。

2. 医療・バイオ

病気の診断や遺伝子解析に用いられるDNAチップの製造では、ガラス基板上の決まった位置に多種類の試薬を正確に滴下する必要があります。マイクロディスペンサーを用いることで高密度なチップの生産が可能です。これにより、一度に多くの項目を検査できます。

3. 自動車・光学機器

自動車産業では、各種センサーや電子制御ユニットの製造において、部品の接着や防水・防湿のためのシール剤塗布にマイクロディスペンサーが用いられます。精密な塗布により、部品の耐久性や安全性を確保します。また光学機器の分野では、カメラのレンズユニットを組み立てる際に接着剤に気泡が入らないようにマイクロディスペンサーで均一に塗布します。