除湿装置とは
除湿装置とは、空気中に含まれる水分を取り除いて空間の湿度を低く保つ装置です。
家庭用には広く除湿機として販売されていますが、産業用は、製品品質の維持や施設の環境保全に不可欠な役割を担います。主に、冷却式とデシカント式の二つの除湿方式が存在します。冷却式は、装置内部で空気を冷却することで結露させる仕組みであり、気温が高い環境下での除湿が得意です。一方でデシカント式は、乾燥剤を組み込んだローターで水分を直接吸着する仕組みで、低温環境下でも除湿能力が低下しにくい点が利点です。
家庭用の除湿機も同様の原理ですが、産業用装置は対応可能な広さや除湿能力が格段に大きく、より精密な湿度制御が可能です。建物の空調と一体化して設置されることも多く、生産ラインや保管庫に対して最適な湿度環境を構築するために利用されます。
除湿装置の使用用途
除湿装置は以下のような用途で使用されます。
1. 製造業
製造業では、製品の品質維持と生産性向上のために除湿装置が不可欠です。食品工場では湿気による菓子の食感劣化や粉末製品の固化を防ぎ、医薬品分野では成分の変質を抑制します。また、電子部品や精密機器の製造ラインにおいても、錆や結露が原因で発生する回路のショートを防ぐために利用されます。
2. 倉庫・物流
倉庫や物流施設では、保管商品の品質を湿気から守るために除湿装置が活躍します。特に、外気との温度差で結露が発生しやすい冷蔵・冷凍倉庫では、壁や天井からの水滴発生を防ぎ、商品や梱包用の段ボールが濡れるのを防ぎます。結露を放置すると、カビの発生や建材の腐食にもつながるため、施設自体の維持にも役立ちます。
3. 商業施設・文化施設
商業施設や文化施設では、快適な環境の維持と展示物の保護に除湿装置が用いられます。スーパーマーケットや飲食店のショーケースでは、ガラス面の曇りを防ぎ、商品を魅力的に見せる効果があります。美術館や博物館、資料館では、絵画や古文書といった貴重な文化財が湿気によって劣化するのを防ぐため、厳密な湿度管理が欠かせません。