サブゼロ処理とは
サブゼロ処理とは、焼き入れをした材料を、0度以下の低温環境にさらして急速に冷却する処理です。
金属組織をオーステナイトからマルテンサイトに変態させることで、硬度が非常に高くなります。また、耐摩耗性や経年劣化の防止にも有効です。
この処理は、精密機械部品や工具、ベアリングなど寸法安定性や耐久性が求められる部品の製造に広く活用されています。また、サブゼロ処理の温度条件は、ドライアイスとアルコールによる冷却ではマイナス80度、炭酸ガスによる冷却ではマイナス130度、液体窒素による冷却ではマイナス196度と幅広く、用途に応じて選定されます。
サブゼロ処理の使用用途
サブゼロ処理は、材料の機能性を向上するために行われます。ここでは、サブゼロ処理の主な使用用途を4つ紹介します。
1. 金属部品の強度向上
サブゼロ処理をすると、金属組織が変化して硬度が高くなるため、強度が必要な製品によく利用されます。特に、自動車や産業機械の構造部品に使用されています。また、摩擦や摩耗に強く、経年劣化も抑えられるため、製品寿命の延長にも役立ちます。
2. 工具・刃物の耐摩耗性向上
サブゼロ処理は、切削工具や金型、刃物の耐摩耗性を向上させるために使用されます。また、経年変化を抑制できるため、長期間安定した性能を維持できます。特に、寸法変化が性能に直結する工具の処理に有効です。
3. ベアリング・精密部品の寸法安定性向上
サブゼロ処理をすると経年変化が小さくなるため、ベアリングや歯車などの精密部品によく使用されます。サブゼロ処理を施すと、金属組織がオーステナイトからマルテンサイトに変化するため、残留オーステナイトを減らすことができ、経年変化を防げます。これにより、高精度な機器の製造につながります。
4. 航空・宇宙産業での高耐久部品の製造
航空機や宇宙機器の構造部品には、高い耐久性と強度が求められます。サブゼロ処理を行うことで、金属の強度や耐疲労性が向上し、過酷な環境下でも安定した性能を発揮できます。