漁礁

漁礁とは

漁礁とは、海底にあり、岩などが積み重なって隆起した場所のことです。

自然に形成された岩礁や沈木などのほか、人為的に設置された人工漁礁も含まれます。漁礁は、魚類が捕食者から隠れる場所や産卵場となり、水産資源の増加や漁業の振興に重要な場所です。

人工漁礁には、コンクリート製や鋼鉄製のもの、さらには廃船や天然石を利用したものなどさまざまな種類があり、主に水産資源の持続的な利用を目的として世界各地に設置されています。特に、乱獲や環境変化によって漁獲量が減少した地域では、漁礁を活用して水産資源を増加させる活動が行われています。

漁礁の使用用途

漁礁は、海洋資源の維持や漁業の発展のために、多くの場所で活用されています。以下に代表的な使用用途を紹介します。

1. 水産資源の増加

漁礁は、魚にとって産卵や生育に適した環境であるため、水産資源の増加に役立ちます。海底に構造物を設置することで、魚や甲殻類が天敵から身を守る場所が増え、捕食されるリスクが減って増殖しやすくなります。

例えば、タイやヒラメなどの沿岸性の魚種は、漁礁に集まり産卵場として利用します。これにより、地域の漁業者は安定した漁獲量を確保しやすくなります。

2. 漁業の効率向上

漁礁は、魚の回遊を促進し、特定のポイントに魚を集めることで、漁業の効率を向上させます。魚が集まりやすい場所を作ることで、漁業者は短時間で多くの魚を獲ることが可能になります。

例えば、漁礁の近くに定置網を設置すれば、魚の回遊を利用して容易に魚を獲ることが可能です。

3. 海洋生態系の回復

漁礁は、破壊された海洋環境を回復する手段としても有効です。海藻が付着しやすい漁礁を設置することで、藻場の再生が促され、破壊された海洋生態系の回復が図れます。

例えば、磯焼け (海藻の減少) によって生態系が崩れた地域では、漁礁を設置することで海藻が再び繁殖し、魚や甲殻類が生息できるようになります。海洋資源を持続的に利用するためにも、漁礁は重要な役割を担っています。