軽量盛土材

軽量盛土材とは

軽量盛土材は、軟弱地盤上の盛土工事で使用される軽量な材料です。

従来の土や砂利などの盛土材料に比べて単位体積重量が小さく、軟弱地盤への荷重を低減できるため、地盤沈下や側方流動などの問題を防ぐことができます。軽量盛土材には、発泡スチロールやシラスバルーン、石炭灰などが使用されます。これらの材料は、土と比べて単位体積重量が1/10〜1/20程度と非常に軽量です。また、施工性や経済性にも優れており、軟弱地盤対策として広く利用されています。

軽量盛土材は、単に軽量であるだけでなく、断熱性や耐水性、耐久性などの特性も備えています。発泡スチロールは優れた断熱性を持ち、寒冷地での凍上対策にも効果的です。シラスバルーンは、火山灰を原料とした多孔質の軽量骨材で、保水性や透水性に優れています。石炭灰は、火力発電所から発生する廃棄物を有効利用した材料で、安定した品質と供給量が確保できます。

軽量盛土材の使用用途

軽量盛土材は、軟弱地盤上での盛土工事に用いられます。軟弱地盤は、土の強度が低く、圧密沈下や側方流動が生じやすいため、通常の盛土材料では十分な安定性が確保できません。軽量盛土材を使用することで、軟弱地盤への荷重を低減し、安定した盛土を構築することができます。

1. 道路や鉄道の盛土工事

道路や鉄道の建設では、軟弱地盤上に盛土を行う必要がある場合があります。軽量盛土材を使用することで、地盤沈下や側方流動を防止し、安定した路床や路盤を確保できます。また、盛土の自重を低減できるため、地震時の液状化リスクも軽減できます。

2. 緑地や公園などの造成工事

緑地や公園などの造成工事では、軟弱地盤上に盛土を行って地盤を安定させる必要があります。軽量盛土材を使用することで、地盤沈下を抑制し、植栽や施設の安定性を確保できます。また、軽量盛土材の優れた透水性により、排水不良による植生の悪化を防ぐことができます。

3. 空港や港湾の埋立工事

空港や港湾の建設では、海や湖沼の埋立が行われます。軟弱な水底地盤上に盛土を行う際、軽量盛土材を使用することで、地盤沈下や側方流動を防止できます。また、軽量盛土材の耐水性により、波浪や潮流による洗掘を防ぐことができます。

4. 河川堤防の嵩上げ工事

河川堤防の嵩上げ工事では、既存の堤防上に盛土を行って高さを増す必要があります。軽量盛土材を使用することで、堤防の自重を低減し、基礎地盤への影響を最小限に抑えることができます。また、軽量盛土材の優れた施工性により、狭い施工スペースでも効率的に工事を進められます。

5. 宅地造成工事

宅地造成工事では、丘陵地や傾斜地を切土・盛土して宅地を造成します。軟弱地盤上に盛土を行う際、軽量盛土材を使用することで、地盤沈下や斜面崩壊を防止できます。また、軽量盛土材の断熱性により、地盤の凍上による建物の不同沈下を防ぐことができます。