黒クロメート

黒クロメートとは

黒クロメートとは、亜鉛めっきを施した部材に対して行われる、クロム化成処理の一種です。

亜鉛めっきは鉄鋼材料などの防錆を目的として広く用いられていますが、亜鉛自体も腐食しやすい金属であるため、保護と装飾性を向上させるためにクロメート処理が行われます。クロメート処理は、クロム酸や重クロム酸などの六価クロム化合物を含む溶液に亜鉛めっき部材を浸漬することで、表面にクロメート皮膜を形成させる処理です。

黒クロメートはその名の通り、処理後の外観が漆黒を呈することが特徴です。独特な黒色は他のクロメート処理では得られない意匠性を付与します。また黒色であることから光の反射を抑える効果もあり、光学機器などにも利用されます。黒クロメート処理は亜鉛めっきの耐食性を向上させるだけでなく、装飾性や機能性を付与する重要な表面処理技術です。

黒クロメートの使用用途

黒クロメートの使用用途として、装飾性が求められる用途、耐食性が求められる用途、光の反射防止が求められる用途の3つを解説します。

1. 装飾性が求められる用途

黒クロメート処理の特徴である漆黒の外観は、他の表面処理では得られない高い装飾性を製品に付与します。そのため外観が重要視される製品に広く用いられています。家具や建築金物などのインテリア製品においても、黒色クロメート処理が施された部品はシックで落ち着いた雰囲気を醸し出すことが可能です。

2. 耐食性が求められる用途

黒クロメート処理は、亜鉛めっきの耐食性をさらに向上させる効果があります。亜鉛めっき自体が優れた防錆効果を持つ一方で、亜鉛もまた腐食しやすい金属です。クロメート処理によって形成される皮膜は亜鉛表面を保護し、外部環境からの腐食要因を遮断する役割を果たします。そのため屋外で使用される製品や湿度の高い環境で使用される製品など、高い耐食性が求められる用途に適しています。

3. 光の反射防止が求められる用途

黒色は光を吸収する性質があるため、黒クロメート処理は光の反射を抑える必要がある用途にも適しています。例えば、カメラや望遠鏡などの光学機器の内部部品に用いられることがあります。光学機器などでは内部での光の乱反射が画質に悪影響を及ぼすため、黒クロメート処理によって光の反射を抑え、画質の向上を図ることが可能です。またプロジェクターなどの映像機器においても、筐体内部や部品に黒クロメート処理を施すことで不要な光の反射を防ぎ、投影される映像の品質を高めることが可能です。