有色クロメート

有色クロメートとは

有色クロメートとは、六価クロムを用いた化成処理によって形成される、黄色を基調とした皮膜です。

一般的に「クロメート」と呼ばれることも多く、鮮やかな色彩から容易に識別することが可能です。有色クロメートは六価クロメート処理の中でも特に優れた耐食性を誇り、緑色クロメートに次ぐ防錆性能を発揮します。

皮膜に微細な傷やクラックが生じた場合、周囲の水に微量の六価クロムが溶出します。溶出した六価クロムは傷口に作用し、新たな保護層を形成することで腐食の進行を抑制することが可能です。自己修復作用によって有色クロメート皮膜は長期間にわたって金属素地を保護し続けることが可能です。

有色クロメートの使用用途

有色クロメートの使用用途として、建築系資材、鉄鋼部材製品、自動車部品の3つを解説します。

1. 建築系資材

有色クロメートは、高い耐食性から屋外で使用される建築系資材の防錆処理として使用可能です。例えばボルトやナット、ワッシャーなどの締結部品、さらには建物の骨組みとなる鋼材や外装パネルの表面処理としても採用されています。建築系資材は雨風や紫外線にさらされる過酷な環境下で使用されるため、長期にわたる防錆性能が求められます。有色クロメートの自己修復作用はこのような環境下で発生する微細な傷から金属素地を保護し、建物の耐久性向上を実現します。

2. 鉄鋼部材製品

有色クロメートは、建築分野以外にも様々な鉄鋼部材製品の防錆処理として使用されています。例えばガードレールやフェンス、標識柱といった道路関連部材、農業用機械の部品、さらには産業機械の構成部品など、幅広い用途でその性能が発揮されています。

3. 自動車部品

かつては自動車部品にも広く用いられていましたが、ELV指令などの影響により、現在では使用が大幅に制限されています。しかし、一部の重要保安部品など高い信頼性が求められる部品においては、優れた耐食性が評価され限定的に使用されているケースも見られます。