打腱器とは
打腱器 (だけんき) とは、神経反射を評価するために用いられる医療器具です。
ハンマーのような形状をしており、医師が患者の筋腱部を軽く叩いて、その際に起こる筋肉の反射 (腱反射) を観察します。これにより、神経系や筋肉の状態を診断することができます。打腱器は主に神経内科や整形外科、リハビリテーション科で使用されますが、一般の身体検査や健康診断の一環としても使われることがあります。種類には、クラシック型 (ハンマー型) 、トンプソン型 (扇形) 、テイラー型 (三角形) などがあり、それぞれの用途や医師の好みに応じて使い分けられます。
打腱器の使用用途
打腱器の主な使用用途は以下の通りです。
1. 腱反射の検査
打腱器は、膝蓋腱 (膝の下) やアキレス腱などを叩き、その反射の有無や強さを確認します。腱反射が正常であれば、軽く叩くことで筋肉が収縮し、足が動くなどの反応が見られます。これにより、神経の働きが正常であるかを判断します。
2. 中枢神経系の評価
腱反射が過剰である場合、中枢神経系 (脳や脊髄) の障害が疑われる可能性があります。たとえば、脳卒中や脊髄損傷などの疾患が影響している可能性を示唆します。
3. 対称性の確認
左右の腱反射を比較することで、神経や筋肉の働きに左右差がないかを確認します。反射の左右差が顕著である場合、特定の部位に神経の圧迫や損傷がある可能性が考えられます。
4. 神経根の診断
打腱器は、神経根の圧迫や損傷を診断するためにも使用されます。たとえば、腰椎や頸椎のヘルニアが神経根を圧迫している場合、関連する腱反射が消失または低下することがあります。
5. 小児の発達評価
小児の診察では、反射を利用して神経系の発達状態を確認します。特に乳幼児期には、腱反射を含む原始反射が正常に発達しているかどうかをチェックすることがあります。
6. 麻酔や筋弛緩薬の効果確認
手術中や麻酔中に、神経や筋肉の反応を評価する目的で打腱器が使用されることもあります。これにより、麻酔や薬剤の効果が十分であるかを確認します。