スキンパス

スキンパスとは

スキンパス

スキンパスは、鋼板などの金属素材を加工する際に用いられる加工方法の一つです。

目的は冷間圧延によって生じる歪みを矯正することで、板材の表面を滑らかに整えて板材の表面のつやだしができます。スキンパスによって板材の強度が低下することがあるため、板材の強度を補強するためにスキンパスを終えた後に熱処理を施す場合があります。スキンパス加工は鋼板をはじめとする金属素材の加工に広く利用されています。

スキンパスの使用用途

1. 建築・建設

外壁材や屋根材、エレベーターやエスカレーターの踏板やフレーム部品、水道施設や河川橋梁の鋼構造部品などが挙げられます。

2. 自動車・輸送機器

自動車の外板やフレーム部品、鉄道車両の外板やフレーム部品、船舶の外板や構造部品などが挙げられます。

3. 家電・電子

家電製品の筐体やフレーム部品、医療機器の筐体やフレーム部品、自動販売機やATMの筐体やフレーム部品、工作機械や測定器の筐体やフレーム部品などが挙げられます。

4. その他

照明器具やシーリングファンの筐体やフレーム部品、ゴルフクラブやテニスラケットのフレーム部品などが挙げられます。

スキンパスの性質

スキンパスは板材の表面を滑らかに整えるように軽く圧延するため、板材の歪を矯正でき、板材の表面の凹凸を均一化することで光の反射が均等になり、つや (光沢) を出せます。平坦度や表面硬度も向上できます。

スキンパスは軽い圧延や引き抜きなどの簡易的なものであり、加工後の板材に大きな変形が生じないため、より精密な加工を施す前の最終仕上げとして用いられます。

スキンパスの種類

スキンパスには、主に以下の3種類があります。名称は異なる場合もあります。

1. 切板用スキンパス

切板用スキンパスは、板材を1枚ずつ切断して加工する方法で、板材の表面状態の調整や圧延歪の矯正に使用されます。板材の歪みを矯正するために軽い圧力をかけながら板材を加工します。圧力は板材の強度や硬度に合わせて調整されます。

切板用スキンパスは1枚ずつ板材を加工するため、生産性が低くて時間がかかりますが、加工対象の板材が小さく様々な形状に加工できるため、柔軟性が高いです。また、加工後の板材の表面が滑らかであり平坦度が高くなるため、精密な加工を施す前の最終仕上げとしてよく利用されます。

2. 連続スキンパス

連続スキンパスは、金属素材を連続的に加工する方法の1つです。コイル状態の金属板を使用して一度に大量の板材を短時間で加工でき、コイルに巻かれた板材がスキンパスミルを通過することで板材の表面状態を調整して歪みを矯正します。

連続スキンパスは大量生産に向いた加工方法であり、生産性が高くて加工コストを抑えられます。加工速度が速いため短時間で多くの板材を加工できます。また板材の厚さによって調整可能な加工力を持ち、板材の厚みに合わせて加工できるため多様な種類の金属素材に対応できます。

3. テンションレベリング

テンションレベリングはスキンパスの一種で、鋼板にテンションをかけつつその反作用を利用して表面の凹凸を取り除き、平坦な状態にする加工方法です。

テンションレベラーは、コイル状態の板材を繰り返し曲げることで圧延歪の矯正やそりの除去を行う加工機械です。テンションレベラーは、コイルの内部に巻かれたテンション (引っ張り力) を利用して板材を曲げ、曲げた状態で加工します。

スキンパスミルよりも精度が高く、圧延歪を効果的に除去できます。また板材を繰り返し曲げることで表面の凹凸を均一化でき、つや出し効果があることが特徴です。さらに板材の硬度の改善にも有効であり、高品質の板材を製造するために欠かせない加工機械の1つです。

テンションレベラーには、前後にロールを備えたローラレベラーと、上下にロールを備えた上下レベラーがあります。前者は板材を前後に移動させながら圧延歪を矯正し、後者は板材を上下に移動させながら圧延歪の矯正します。使用する板材の形状や加工目的に応じて適切なテンションレベラーを選択することが重要です。

スキンパスのその他情報

プラスチックのスキンパス

スキンパスは主に金属素材の加工に用いられますが、プラスチック素材の加工にも利用されることがある加工技術です。プラスチック素材の場合、透明なプラスチック素材であるポリカーボネートやアクリル樹脂などをスキンパスすることで、表面の凹凸を均一化して美しい仕上がりになります。

スキンパスによって透明なプラスチック素材の表面が均一になり、美しい仕上がりになります。その際にプラスチック素材の表面にできる小さな傷やキズも磨き取ることが可能です。

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