業務用給湯器とは
業務用給湯器は、家庭用の給湯器よりも大きな容量や高い性能を求められる場所で使用される給湯設備です。
大量の温水を効率的に供給することができるため、ホテルや病院など、需要が多い場所で特に有用です。複数の使用場所や設備で同時に温水を必要とする場合に便利です。また、業務用給湯器は省エネ設計されていることが多く、エネルギーの消費を最適化することができます。
業務用給湯器の使用用途
業務用給湯器は以下のような用途で使用されます。
1. 商業施設
ホテルや旅館などの宿泊施設では、客室シャワーや洗面所での温水供給が必要です。また、大浴場や温泉施設などでも大量の温水が常に必要となります。業務用給湯器を使用することで、効率的に温水を供給することが可能です。
また、温水プールやスパ施設などでも同様に、施設内の水温を維持するために業務用給湯器を使用します。レストランや飲食店でも使用され、食器洗浄などのために温水を準備します。業務用給湯器であれば、大人数を対象とした商業施設でも温水を供給できます。
2. 工場・製造業
食品工場や製薬工場では、製品や機器の洗浄に温水を使用します。高温水でこれらを洗浄することで、細菌や汚れを効果的に除去することが可能です。また、化学工場などでも、原料の加熱や蒸気を利用した加熱プロセスに温水や蒸気を使用することがあります。
3. 病院・介護施設
手術や診察で使用した器具を洗浄する際には、高温での消毒が必要です。業務用給湯器を使用することで安定した高温水を準備できるため、感染防止や衛生管理に貢献します。患者用浴室やシャワールームでの温水供給も兼用することがあります。また、介護施設でも同様に使用されることが多く、高齢者や要介護者の入浴や室内清掃のために温水を作り出すことが可能です。
業務用給湯器の原理
業務用給湯器内部では、熱源を使用して水を加熱しています。エネルギー源にはガスや電気または石油などが使用されます。バーナーやヒーターを使用して熱を発生させ、水を加熱します。
業務用給湯器では供給する温水の温度を適切に調整する必要があるため、温度センサーや制御装置を内蔵しています。給湯器は設定された温度に達するまで水を加熱し、その後適切に供給するために温度管理を実施します。温度が設定温度に達したら加熱を停止し、過熱による火傷や機器故障を防止します。
業務用の場合はエネルギー効率を高めるために様々な技術が採用されます。ヒートポンプによって外部の熱を回収したり、排熱回収装置を付属する機器も販売されています。エネルギーを効率よく利用することで運用コストを抑えるとともに、環境への負荷を軽減しています。
業務用給湯器の種類
業務用給湯器は給湯形態に応じて、瞬間式とタンク式に分類されます。
1. 瞬間式業務用給湯器
瞬間式業務用給湯器は水を給湯器に流すと同時にその水を即座に加熱し、必要な分だけ温水を供給する方式です。タンクを使用せず、必要なときにその都度温水を作り出すため、エネルギー効率が高い点が特徴です。家庭用でも同様の方式を採用されることが多く、無駄なエネルギー消費がありません。
また、設置スペースが小さくて済み、コンパクトな施設に適しています。即時に温水を供給できるため、シャワーや手洗いが頻繁に行われる施設など、少量の温水を必要とする環境に最適です。一方で大量の温水を一度に供給することが難しく、連続して大量の温水が必要な場合には、温度が不安定になる可能性もあります。
2. タンク式業務用給湯器
タンク式業務用給湯器は温水をタンクに蓄え、必要に応じてその温水を供給する方式です。タンク内で水を加熱しておき、大量の温水が必要とされる場合にも安定して供給することができます。温水の供給を途切れることなく行うことができ、連続して多くの温水を必要とする施設に適しています。
一方で、タンクが大きくなると、設置スペースが必要になり、場所を取る場合もあります。また、タンク内の温水を常に保温しておく必要があるため、エネルギー効率が瞬間式に比べて若干低くなることもあります。