トムソン型

監修:株式会社ノダ

トムソン型とは

トムソン型

トムソン型とは、様々な材料を型抜きするための製品です。

トムソン型に合わせて製作された刃をトムソン刃と呼ばれます。プラスチックフィルムやシートなどを加工するために使われることが多く、材料の種類や厚み、使用するプレス機によって、トムソン型の仕様が異なる為、基本的に受注生産品です。

トムソン型は連続的な製品の生産に適しており、大量生産が効率的に行えます。これにより、生産コストが削減され、効率的な生産が可能です。また型の設計が比較的シンプルであるため、メンテナンスや修理が容易な点も特徴の一つです。

西日本ではトムソン型と呼ばれ、東日本ではビク型と呼ばれる傾向にあります。トムソン型は、アメリカのプレス機メーカーの創設者の名前に由来していると言われています。一方
ビク型は、ドイツの印刷機メーカー、シュナイダー社の活版印刷機「ビクトリア」を打ち抜き機として使い始めたことに由来しています。“ビクトリアで使用する抜型”の略で「ビク型」と呼ばれるようになりました。

トムソン型の使用用途

トムソン型は、様々な製品の加工で使用されます。以下はその一例です。

1. 包装材

お菓子の箱や、化粧品のパッケージ、各種段ボール箱、通函、緩衝材、詰替え用パウチといった軟包装など、シンプルなものから、複雑な装飾が施されたデザインのものまで、様々な包装資材の製造にトムソン型が使われています。ミシン目状の刃物や、罫線を使うことで、打抜きと同時に折り目を入れることも可能です。

2. 工業用製品

各種パッキン、ガスケット、ジョイントシート、車両部品(内装部材、装飾部材、他)、マスキングフィルム、粘着テープなど。

3. その他

空調機器や、音響部材、映像機器、光学機器、電子基盤といった弱電・精密部品関係のものから、付箋やステッカー、銘鈑、ワッペンなどの印刷、雑貨関係。その他、日用品や衣料品など。

トムソン型

トムソン型の原理

クッキーの生地を型抜きするように、主にシート状の材料から任意の形状を抜き出す為に使われます。

トムソン型そのものは、土台となすベースに刃を埋め込んだものですが、プレスする際に材料が嵌まり込んでしまわないように、跳ね出しゴムと呼ばれるゴムスポンジを貼り付けて使用します。

また、プレス機で打抜く際には、まな板のような役割を果たす、当て板と呼ばれる樹脂製の板、または薄い鉄板も必要です。パッケージや箱のように、型抜きと同時に折り目を入れる場合には、面板や溝切りテープを使う場合もあります。

トムソン型

1. 製造方法

トムソン型は、大きく分けてベースと刃物の2つの部分からできています。

・ベース:ベニヤ板や樹脂板などの土台となる部分です。レーザーで溝を切り、その中に刃物を埋め込みます。

・刃物:素材を切るための刃です。素材の種類や厚さ、形状によって、様々な種類の刃物が用意されています。

刃物の形状は、製品の設計図に基づいて製図された、トムソン型専用の図面データから作られます。ベンディングマシンと呼ばれる機械によって自動的に加工された後、必要に応じて手作業で微調整し、ベース板に埋め込みます。

2. 素材やサイズ

・多様な素材に対応::ゴム、発泡体、樹脂、紙、段ボール、フィルムなど、実に様々な素材を打ち抜くことができます。

・幅広いサイズに対応: 手のひらサイズの小さなものから、2Mを超える大きなものまで、用途に合わせて製作可能です。

・試作品から量産品: 試作から量産まで、幅広い段階で利用できます。

・高い自由度::刃物には、高さ(6~100H)や厚み、刃先の角度や形状、研磨仕上げ、硬度、コーティングの有無など、数百種類を超えるラインナップがあります。

3. 精度

トムソン型の寸法精度の目安はおよそ±0.15程度です。より高精度な抜型が必要な場合には、マシニングセンタを駆使して製造される「腐食刃」「彫刻刃」などが使用されます。

【トムソン型の選び方】

1. 対象材料

様々な種類、厚みの素材(ゴム・発泡体・樹脂・紙・段ボール・フィルム・繊維・皮革など)に対応しています。

打抜き可能かどうかは、条件により異なりますので、ご不明な場合は各トムソン型製造メーカーにお問い合わせください。

2. 製品形状

様々な形状に対応可能です。

トムソン型の寸法精度の目安はおよそ±0.15程度です。より高精度な抜型が必要な場合には、マシニングセンタを駆使して製造される「腐食刃」「彫刻刃」などが使用されます。

手のひらサイズの小さなものから、2Mを超える大きなものまで、用途に合わせて製作可能です。

3. メンテナンス性

刃物は金属性ですので、使用環境や保管状況により錆が発生する可能性があります。使用後は防錆剤を噴霧したり、高温多湿を避けて保管することをお勧めします。

また、粘着材料を加工した際に、刃物や跳出しゴムに粘着質が付着したままにしておくと、製品不良の原因になります。刃種を変えたり、跳出しゴムの貼り方を工夫したり、非粘着性のあるスプレーを使用することで、粘着剤の付着およびトムソン型のメンテナンスが容易になります。

トムソン型は刃やベース板の交換が可能です。刃先の摩耗や損傷により、製品の打抜きが困難になった場合には、各トムソン型製造メーカーにお問い合わせください。

ただし、場合によっては交換や修理ではなく、新規で再製作することをお勧めする場合があります。

4. コスト

基本的に、単純な形状で小さいものや、ベーシックな仕様なものは安価で、複雑な形状でサイズが大きいものや、特殊な仕様なものは高額になります。

ただし、それはあくまで目安です。

トムソン型は、材料の種類や厚み、使用するプレス機によって、仕様が異なり、基本的に一点もの(受注生産)ですので、一律に価格を提示することが難しい製品です。

一般的に、金型と比較するとトムソン型の方が安価で短納期での対応が可能です。

トムソン型のその他情報

また、打ち抜き加工のみならず、製品の仕上げにかかる工数までをもコストという捉え方をした場合には、トムソン型の価格は上がるものの、作業性を向上させる仕様にすることでトータルコストを下げることができます。

例えば、打ち抜き加工後に手作業で行っているカス処理を、打抜きと同時に処理できる仕様にすることで、1工程削減し、エラーの確率を下がることで材料ロスを減らすことができます。

このように、単なる打抜きのためのコストと捉えるか、生産性を高めるアイテムと捉えるかによってトムソン型に求める価値は変わってきます。

このような理由から、コストについては、仕様のご相談も含めまして直接お問い合わせされることをお勧めいたします。

本記事はトムソン型を製造・販売する株式会社ノダ様に監修を頂きました。

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