監修:株式会社DIT JAPAN
ロストワックスとは
ロストワックスとは、蜜蝋などのワックスを使用した鋳造技術です。
ワックスを使って鋳型を作成し、高温でワックスを溶かすことで鋳型から取り除くことから名前が付けられました。精密な彫刻や鋳造に使用される古典的な技術です。
ロストワックス鋳造は非常に精密なワックスモデルを使用するため、複雑な形状や微細なディテールを持つ複製品を作成することができます。この技術を使えば、細部まで忠実に再現した製品を製造することが可能です。また、ワックスモデル製作段階ではほぼ制限なく自由に形状を設計することができるため、独創的で複雑なデザインの製品を生み出すことが可能です。
ロストワックスの使用用途
ロストワックスの技術は様々な分野で活用されます。以下はその一例です。
1. 土木・建築
ロストワックスの技術は建物の装飾や彫刻に広く使用されます。建物の外装や内装に使われる彫刻や装飾品など、複雑なデザインを持つ装飾品を作製するのに有利です。ドアノブや手すりなどの建築金物について、精密なデザインを必要とする場合に便利です。
また、プレキャストコンクリート部品に使用される金具や、アンカーの製造に活用されます。これらの金具やアンカーは土木分野において、構造物の補強に使用されることが多いです。
2. 製造業
自動車部品としてはエンジン部品や内装品など、複雑かつ高精度が求められる部品の製造に使用されます。また、同様に航空宇宙産業での航空機構造部品など、高温・高圧に耐える部品の製造にもロストワックス鋳造が採用されることが多いです。加工業用のドリルビットの製造にも採用されます。
3. 芸術
彫刻家によっては、ロストワックス技術を使用して複雑な彫刻作品を制作します。ワックスモデルを使って金属や陶器に鋳造されるため、自分のアイデアをリアルな形で実現することが可能です。
また、宝飾品業界でもロストワックス鋳造が広く用いられます。ロストワックス技術は緻密なデザインや高品質な仕上げが求められる宝飾品の製造に適しています。
ロストワックスの原理
ロストワックス鋳造では、最初に対象物の精密な複製品であるワックスモデルが作成されます。このワックスモデルは彫刻や型押しまたは3Dプリンターなどを使用して製作することが多いです。ワックスモデルを基に耐火材料などを用いて鋳型を作ります。
鋳型が完成するとワックスモデルを加熱して溶解させます。この工程でワックスが鋳型内から流れ出すため、「ロストワックス」という名前が付けられています。
準備が整った鋳型には金属合金を溶かして注入します。その後、金属は鋳型内で冷却され、固化します。この段階で金属がワックスモデルの形状を正確に再現する仕組みです。
金属が完全に冷え固まった後、鋳型を割って取り除きます。これにより、ワックスモデルと同形状の金属を取り出すことが可能です。必要に応じて研磨やメッキなどの仕上げ加工が行われます。
ロストワックスの選び方
ロストワックスによって製品を製造するメーカーは多く存在します。これらのメーカーを選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。
1. 対応材質
ロストワックス鋳造では、様々な金属合金が使用されます。メーカーを選ぶ際には、どのような材質や合金を取り扱えるかを確認することが重要です。特に、特定の材質や合金で製造しなければならない場合には確実に対応可否を確認する必要があります。
2. 信頼性
ロストワックスメーカーの信頼性は、その製品の品質などに関連します。信頼性の高いメーカーは品質管理や生産プロセスにおいて高い基準を持ち、顧客のニーズを満たすことに焦点を当てています。過去の実績や顧客の評判などを調査することで、メーカーの信頼性を評価することが可能です。
3. 技術力
ロストワックス鋳造は高度な技術を要するため、メーカーの技術力も重要です。技術力の高いメーカーは最新の鋳造技術や設備を導入し、高精度な製品を提供することができます。また、製品の設計や開発段階から顧客をサポートできるかも重要な要素です。
4. コスト・納期
コストと納期も重要な選択基準です。競争力のある価格で品質の高い製品を提供しているメーカーを選ぶことは重要ですが、納期も同様に重要です。製品の納期が遅れると生産計画やプロジェクトスケジュールに影響を与える可能性があります。
本記事はロストワックスを製造・販売する株式会社DIT JAPAN様に監修を頂きました。
株式会社DIT JAPANの会社概要はこちら