点検ロボット

点検ロボットとは

点検ロボットとは、対象物を点検するために設計されたロボットです。点検ロボットは、カメラやセンサーなどを搭載し自律走行します。

近年、様々な現場で人手不足が深刻化しており、インフラの維持や設備管理に欠かせない点検作業の現場でも同様の問題を抱えています。そこで、従来人が行っていた点検作業を点検ロボットで行うことで、作業の効率化が図れると同時に人手不足の解消に繋がります。

また、適応した点検ロボットを使用することにより、危険を伴う現場で安全面を確保することや、従来人が入り込めなかった場所での点検を可能にします。

点検ロボットの使用用途

点検ロボットは様々な場面で使用されています。以下はその使用用途の一例です。

1. インフラの点検

生活インフラの一つである下水管、排水管において、点検ロボットを使用することにより内部の腐食や破損、ひび割れ等の点検を行うことができます。

また、データセンターにおいて点検ロボットを導入する動きが増えています。データセンターでは、電気を多量に使う為日々の設備点検が欠かせませんが、点検ロボットを自動巡回させることにより作業軽減に繋がります。

2. 災害現場

豪雨災害の現場では、建物の床下の状態や基礎や柱の点検などに点検ロボットが使用されています。

また、大地震などの災害現場でもロボットを活用する動きがあります。大地震などの災害が起きると、建物が倒壊し瓦礫の中で救助活動をしなければなりません。災害現場でロボットを遠隔操作することにより、人が入れない場所の被害状況の確認及びロボットアーム等を使用した救助活動を行うことができ、二次災害を防ぐことも可能になります。

3. 農業

農場では、土壌の状態や作物の成長状態を定点観測するにあたり点検ロボットの使用が可能です。農場は土地が広大で定期的に観測するのには多大な労力が必要ですが、ロボットを遠隔操作することで労力を低減できます。

また、農業用の水路トンネルの点検用途にも、点検ロボットが開発されています。農業用の水路トンネルは総延長2,000 km以上ありますが、上水、工業用水等と兼用になっているトンネルなどでは断水することが難しく、今まで人による点検が十分に出来ませんでした。高感度カメラを搭載し、通水中でもカメラが回転しない様自動制御される点検ロボットが開発され、水路トンネル内部のひび割れや漏水などを点検することが可能となっています。

4. 警備

近年は、大型ショッピングモールや複合施設、病院、工場などで、パトロールを行うロボットの導入が増えています。このロボットは警備ロボットとも呼ばれ、警備・見回りすると同時に、通路や手すりの消毒を行うなどニーズに合わせてカスタマイズすることも可能になっています。

点検ロボットの原理

点検ロボットは使用用途に応じ様々な機能を搭載します。以下に代表的な機能と原理を記載します。

1.自律走行

周囲の環境を認識するための3Dレーザーセンサーなどの情報からマップを作成し、自己位置と環境位置を把握し走行ルートを決め、ルート上の人や障害物を自動で回避しながら自律走行します。
また、ユーザーインタフェースや制御装置を介して操作することが可能です。

使用用途に合わせ、凹凸のある路面に対応させたり防水仕様にしたロボットもあります。

2. カメラ

CMOSカメラやCCDカメラ、使用場面に応じ赤外線カメラなどを搭載し撮影します。

3. センサー

自律走行に必要なマッピングのための3Dレーザーセンサーを備え、使用用途に応じ赤外線センサー、ガスセンサー、においセンサー、超音波センサー等を搭載します。

ユーザーは、これらのカメラやセンサーにより得られた情報を遠隔地で確認することができ、異常検知や、AIを用いての定量的な分析や記録・レポート作成を容易に出来る様になります。

点検ロボットのその他の情報

今後、更なる導入が進むことが期待される点検ロボットの一例を記載します。

インフラの中でも、特に維持・管理が難しいとされ老朽化が進む橋梁・トンネルにおいて、点検ロボットの導入が広がることが期待されます。人手不足の解消や、適切に点検・予防保全を進めることでSDGsに繋がります。

他にも、鉄道の架線整備やビルのメンテナンス等の高所作業への点検ロボットの導入が、安全面からも期待されています。