導電糸とは
導電糸とは、糸に導電性を付与したものです。
一般的に金属繊維や導電繊維や導電性ポリマーなどの導電性素材でできています。導電糸は、その柔軟性や導電特性から、さまざまな分野で幅広く活用されています。
導電糸は織り込んだり、縫い付けるなどの方法で簡単に布地や素材に組み込むことができます。これにより、電気回路やセンサーを含む製品の製造や組立が容易です。また、導電性を有する衣類を製造することができるため、例えば導電糸を編み込んだ手袋では、着用したままタッチパネルを操作可能です。
導電糸の使用用途
導電糸は様々な製品に利用されています。以下はその用途一例です。
1. 衣類
導電糸を衣類やアクセサリーの一部として組み込むことがあります。これにより、電子機器やセンサーを身体に密着して装着できるため、身体の動きや健康状態などの情報をリアルタイムで収集することが可能です。また、手袋の内側に縫い込むことで、着用したままスマートフォンなどを操作できるようになります。
2. センサー
導電糸をセンサーに使用する場合があります。導電糸を介して体動や圧力などの情報を検出し、電気信号として出力する仕組みです。これにより、身体の動きや周囲環境の変化などをリアルタイムでモニタリングできます。
導電糸を使用したセンサーはスポーツウェアや医療機器などに使用されることがあります。ロボット工学などの分野で使用されることも多いです。
3. 電子基板
導電糸は柔軟で曲げ可能な素材であるため、従来の硬い基板では実現が難しかった柔軟な電子基板なども製造が可能となりました。これにより、部品の小型化や柔軟化が可能です。曲面ディスプレイなどの分野でも広く使用されています。
4. ヒーター
電気抵抗により発生する熱を利用して、加熱素材として使用される場合もあります。導電糸を編み込んでヒーターとした電気毛布などを製造することが可能です。寒冷地でのアウトドア活動や医療用の温熱療法などで利用されます。
導電糸の原理
導電糸は基本的に通電性素材を繊維や糸の形状にした製品です。したがって、導電性を有する点が特徴です。一般的には金属繊維や導電繊維、導電性ポリマーが使用されます。
金属繊維は導電性が高いのが特徴で、糸の形状にすることで導電糸として使用されます。銅や銀などの素材を用いることが多いです。これらの金属繊維はポリエステルやナイロンなどの合成繊維と混合されて使用されます。
導電繊維は絶縁繊維などに銅や銀などのメッキを行う、または導電樹脂をコーティングされて、導電糸として使用されます。
導電性ポリマーは導電性を持たない通常のポリマーと混合されて導電糸として使用されます。柔軟性が高く、繊維や糸とすることが容易な素材が多いです。
導電糸の選び方
導電糸を選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。
1. 寸法
導電糸の太さは電気抵抗や耐久性などに影響を与えます。太い導電糸ほど抵抗値も低く、耐久性も高いことが多いです。ただし、太い導電糸は柔軟性に欠けることがあるため、使用する用途に応じて適切な太さを選択する必要があります。
また、長さも重要な要素であり、必要量に合わせて選定することが重要です。長さが過多になると、電気抵抗値によっては、回路が正しく機能しない可能性があります。
2. 材質
導電糸の材質も非常に重要な選定要素です。銀や銅などの金属が使用される場合や、ナイロンなどの合成繊維にメッキされる場合もあります。また、導電性フィラーを練り込んだ樹脂を繊維や糸にコーティングされる場合もあります。用途に応じて適切な導電糸を選定する必要があります。
3. 抵抗値
導電糸の抵抗値は電流の流れに対する抵抗の度合いを示す指標です。抵抗値が低いほど電流が自由に流れやすくなります。抵抗値は導電糸の材質や長さ、太さによって異なるため、適切な抵抗値を選択する必要があります。
4. 耐久性
耐久性は長期間の使用や機械的なストレスに対する耐性を示す指標です。耐久性の高い導電糸は曲げや伸縮などの操作によっても変形や破損しにくい点が特徴です。特にウェアラブルテクノロジーなどの応用では、繰り返しの洗濯や着脱にも耐える必要があります。