フッ素樹脂テープ

フッ素樹脂テープとは

フッ素樹脂テープ

フッ素樹脂テープとは、フッ素樹脂の一種であるPTFE (ポリテトラフルオロエチレン) をフィルムに用い、その上からシリコン粘着剤を塗布したテープです。

フッ素樹脂は他の樹脂素材よりも、優れた特性を多く持っています。例えば、熱に強い、滑らかで摩擦が小さい、薬品に対する耐性や、電気に対して絶縁性があることが挙げられます。また耐候性が高く、屋外で使用しても劣化の心配がありません。

フッ素樹脂テープを貼ることで、これらの優れたフッ素樹脂の効果を手軽に利用することが出来ます。

フッ素樹脂テープの使用用途

フッ素樹脂テープの使用用途を特性ごとに解説します。

1. 幅広い耐温性

フッ素樹脂は、樹脂の中でも耐温性に優れており、融点や分解開始の温度が300℃を超えています。製品にもよりますが、フッ素樹脂テープとしても200℃かそれ以上の温度域まで使用可能です。そのため、高温環境下での使用やフィルム溶着のためのヒートシールの被覆用途などに用いられています。

2. 摩擦がなく滑らか

様々な固体と比較しても、摩擦関数が最も小さく、潤滑性を有しています。そのため、ラインの潤滑材の役割としてコンベアなどの機器の滑らせたい部分に使用されたり、印刷機の用紙すべりの目的などにも使用されています。

3. 電気絶縁

高い絶縁性を有するため、コイルやモーターなどの結束部分の被服などに活用されます。

4. 薬品耐性

酸やアルカリの性質にも耐性があり腐食されることがないので、薬品を扱う場合や、溶出などの心配がある部分にマスキングとして使用することで、漏洩を防止・抑制したり保護することができます。空気や水に弱い薬品の劣化を防止することを目的に、薬品を入れている容器のキャップ部分に巻き付けてシールするために使われることもあります。

フッ素樹脂テープの原理

フッ素樹脂テープは、フィルムにフッ素樹脂を使用しており、その上からシリコン粘着剤でコーティングしています。下記では、フッ素樹脂がなぜそのような特長を有するのかを物質の構造の観点から解説します。

1. 炭素-フッ素間の強い結合力

フッ素樹脂として利用される物質は主にPTFEというもので、これは炭素原子とフッ素原子のみからなります。フッ素原子特有の性質を発揮することで、他の樹脂にはない優れた特性を示します。

炭素-フッ素の結合は非常に強く切れにくいです。強い結合力により他の物質との化学反応が起きにくく、分解や溶解することがないため高い安定性を有します。これが高い耐熱性や優れた薬品耐性を示す理由です。

また、分子内の結合力が強いことで、他の物質と接触した時にその相手材との相互作用 (分子間力) が小さくなり、それが低摩擦性という特性に繋がっています。

2. 対称性の高い構造

PTFEは構成原子が炭素とフッ素の2種類のみであり、それが分岐せずに直鎖上に伸びていることから対称性の高い構造になっています。そのため分子表面における凹凸が少なく、素材としても滑らかな表面構造になっています。低摩擦性はこの特性にも起因しています。

また、構造の対称性が高いことで、分子内において電荷的な偏りが極めて小さくなっており、電気抵抗が非常に大きいことが知られています。更に、PTFEの電気抵抗は周波数や温度の影響をほとんど受けません。これらの性質から優れた絶縁体として利用されています。

3. 低い表面自由エネルギー

PTFEは分子内の電荷的な偏りが極めて小さいことから、分子間力 (分子同士が引きつけ合う力) が非常に弱く、それにより表面自由エネルギーが固体の中でも非常に低いです。表面自由エネルギーとは液体の表面張力のように、物質の中で分子同士が引き合う力の強さを表す値です。

表面自由エネルギーが小さいほど他の物質を引きつける力が弱いことを意味します。PTFEの低い表面自由エネルギー (=他の物質を引きつける力が弱い性質) は撥水性、非粘着性に表れており、屋外での使用にも耐えられる高い耐候性を示します。

フッ素樹脂テープの種類

フッ素樹脂テープの種類は、構造の観点から大きく2つに分けることができます。

1. スカイブドタイプ

フッ素樹脂であるPTFEのみからできているタイプです。円筒型に押し固めたPTFE樹脂を薄いフィルム状に削り出すことで成形するタイプです。削り出されたテープの厚みは約0.1mmと非常に薄いため、引き伸ばしながら巻き付けることで物質表面に張り付けることができます。粘着性はないため、ガムテープやセロハンテープのように平面に貼り付けることはできません。

2. 接着剤塗布タイプ

フッ素樹脂の表面に接着性・粘着性のあるシリコーン樹脂やアクリル樹脂を塗布したタイプです。粘着面の物質に貼りつくことで、物質表面に撥水性、絶縁性などのフッ素樹脂の特性を付与することができます。

参考文献
https://tape-omakase-navi.com/column/post-370/
https://www.monotaro.com/s/c-70787/
https://www.meikou.jp/fluororesin.html
https://www.meikou.jp/fluororesin-2.html
https://www.y-skt.co.jp/magazine/coating/lowfriction/
https://www.y-skt.co.jp/magazine/coating/electrical_character/
https://www.y-skt.co.jp/magazine/coating/teflon_repel/

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