シーズヒーター

監修:株式会社河合電器製作所

シーズヒーターとは

シーズヒーター (英:Sheathed Heater) とは、金属管の中心に発熱体を配置し、絶縁物を充填した電気ヒーターです。

金属管と絶縁物が発熱体を保護しつつ、熱が目標物に効率的に伝わるように設計されています。したがって、外部からの衝撃や腐食などに対して比較的耐久性が高い点が特徴です。加熱プロセスの制御や温度の調整が必要な場面で使用されます。

また、絶縁物で覆われているため、発熱体を触れることによる感電事故を防止し、安全に対象物を加熱することができます。多種多様な形状で設計、製作が可能です

なお、シーズヒーターと似た製品にカートリッジヒーターがあります。カートリッジヒーターは電源の引き込み端子が1端に2端子出ている製品を指します。それに対して、シーズヒーターは電源端子が2カ所あり、1カ所に1端子ずつ配置された製品です。

シーズヒーターの使用用途

シーズヒーターは様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. プラスチック成形

プラスチック成形工程では、シーズヒーターが金型の加熱に使用されます。金型を適切な温度に保つことで、プラスチックが均一に溶解され、成形されるための条件が整う仕組みです。また、成形されたプラスチック部品を迅速に冷却するための冷却ラインにもシーズヒーターが組み込まれることがあります。

2. 食品加工

食品加工業界ではシーズヒーターがオーブンやグリルなどの加熱装置に使用されます。これらは食品を加熱するために使用されるため、食品の品質に直結する装置です。また、食品の保温や温度管理にも利用されることが多いです。

3. 半導体製造

半導体製造プロセスでは、ウェハや基板の加熱に使用されます。これにより、ウェハや基板上の材料が活性化され、所望の反応や加工が行われます。蒸着プロセスや表面処理などにおいて、特定の温度範囲での加熱が必要とされる場合にシーズヒーターが活用されます。

4. その他

その他にも産業機械の様々なプロセスにおいて、シーズヒーターが使用されます。例えば、パッキング機や封入機では、シーズヒーターがシール部分の加熱に使用されます。また、回転機器の潤滑油加熱においても、シーズヒーターが活用される場合も多いです。

シーズヒーターの原理

シーズヒーターの中心部はニッケルクロム合金から作られたヒーターコイルです。ヒーターコイルに電流が流れると抵抗による熱が発生します。

ヒーターコイルを、金属管や絶縁物によって保護しているのがシーズヒーターの特徴です。ヒーターコイルから発生した熱は絶縁物、金属管に伝わります。金属管から放射された熱は周囲の対象物に伝わります。

シーズヒーターは通常、温度制御システムと組み合わせて使用されます。温度センサーがシーズヒーターの温度を監視し、設定された温度に達すると電力供給が自動的に切断されます。これにより、過熱や熱ダメージを防ぎながら、安全で効率的に加熱することが可能です。

シーズヒーターの選び方

シーズヒーターを選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。

1. 電力

シーズヒーターの電力は加熱能力を示す指標です。一般的に電力が高いほど加熱能力が大きくなりますが、電気エネルギーも多く消費します。使用環境や目的に応じて、適切な電力の製品を選択する必要があります。

2. 電源電圧

シーズヒーターの電源電圧は、電源に合わせて選択する必要があります。一般的な電源電圧はAC100VやAC200Vです。電源の提供可能な電圧を確認し、対応したシーズヒーターを選択します。

3. 寸法

シーズヒーターの寸法は設置場所に適合している必要があります。加熱する対象物の形状やサイズに合わせて、適切な寸法のシーズヒーターを選択することが重要です。

4. 材質

シーズヒーターに使用する部品は、耐久性や耐熱性に影響を与えるため、用途に最適な材質を選定する必要があります。金属管にはSUS304、321、316Lなどのステンレスが一般的です。加熱対象によってはチタンを選定することもあります。発熱体は主にニッケルクロム合金を使用します。

本記事はシーズヒーターを製造・販売する株式会社河合電器製作所様に監修を頂きました。

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