銅合金とは
銅合金とは、主成分となる銅に他の元素を添加した金属です。
銅合金の1種である青銅は、金や銀とともに、人類が古来から使用してきた金属であり、その時期は紀元前7,000年~8,000年頃 ごろから使われていたとも言われています。主成分である銅自体が、さまざまな優れた性質を有しています。
銅に1種類もしくは2種類以上の元素を加わえて合金化することで、より多様な性質を付与することが可能です。今日では青銅や黄銅をはじめ、きわめて多くの種類の銅合金が製造されており、鉄鋼材と同様に広い分野で利用されている金属材料の1つです。
銅合金の使用用途
銅合金は種類が多く性質も多様なため、産業界だけでなく、私たちの身の回りのものにも幅広く利用されています。最も身近なものは、日本の硬貨です。1円玉以外の全ての硬貨に銅合金が使われています。
- 黄銅
金管楽器やドアノブ、ベアリング、アクセサリーなど - 青銅
アクセサリーや貨幣、建築物、銅像など - 白銅
食器、貨幣、医療器具、機械部品など
白銅は清潔さが求められるところでの用途が多いです。また、銀の代用品としても使用されています。銅や銅合金は、電気伝導率や熱伝導率が非常に高いため、電気・通信分野においてコネクタ類やリレースイッチに使われることが多く、生活用品では調理器具によく利用されています。
また、銅合金は、海水に対しての耐性にも優れています。よって、船舶のスクリュー、シャフト、ポンプなどにも使われています。
銅の性質
銅は、元素記号Cu、原子番号29の遷移金属です。自然界では、銅の単体として産出されることもありますが、主に銅鉱石として産出されます。銅の主な性質は以下のとおりです。
1. 導電性
銅は非常に優れた電気伝導性を持っています。このため、電線や配線、電子機器など、電気を効率的に伝導する用途に広く使用されています。
2. 熱伝導性
銅は熱をよく伝導する性質があります。熱伝導率が高いため、冷暖房機器や調理器具などの熱伝導部材にも利用されます。
3. 耐食性
銅は空気中で酸化被膜を形成し、この酸化被膜によって表面が保護されます。これにより、耐食性が向上し、多くの環境で腐食に対して比較的耐性を持ちます。
4. 可塑性と延性
銅は非常に可塑性と延性に富んでおり、加熱によって容易に加工、成形、鍛造することができます。この特性は、さまざまな工芸品や製品の製造に利用されます。
5. 抗菌性
銅の表面は一部の微生物に対して抗菌作用を持っていることが知られており、この性質を利用して感染症予防などの用途にも応用されています。
銅合金は、銅に他の金属を加えて作られます。銅の特性に加えて、他の金属の特性も備えています。そのため、銅よりも強度や耐食性に優れているのが特徴です。
銅合金の種類
銅合金の種類は、きわめて多く特徴も多様です。主成分の銅が融合性に優れており、さまざまな元素と結び付きやすいためです。添加する元素によって、銅本来の優れた性質をさらに向上させたり、硬度や強度などの機械的性質を改善したりすることができます。
種類の多い銅合金ですが、組成成分によっていくつかに分類することができます。代表的な銅合金は、以下のとおりです。
1. 黄銅 (英: brass)
銅と亜鉛の組み合わせからなる黄金色をした合金で、銅合金の中でもっとも使用量が多いです。一般的な黄銅は銅と亜鉛の比率が60〜90%の範囲にあります。
亜鉛の添加により、黄銅は銅よりも硬度が高く、強度が増します。また、加工や形成が容易なため、鋳造用材としてもよく利用されます。
2. 青銅 (英: bronze)
銅とスズを主成分とする合金です。古くから人類に使われてきました。一般的な青銅は、銅とスズの比率が80〜90%の銅と10〜20%のスズで構成されています。
流動性がよく、鋳造に適しています。本来は、銅とスズからなる合金を指しますが、アルミニウム青銅やマンガン青銅といったスズを含まない銅合金もあります。それらと区別する意味で、スズ青銅と呼ばれることも多いです。スズの添加量が多くなるほど、硬度が高くなります。
3. 白銅
キュプロニッケルとも呼ばれるように、銅にニッケルを添加した銀白色の合金です。耐食性に優れ、海水に対しても高い耐性を有しています。靭性が高く、比較的高温な状況下でも強度が低下しません。
4. 高銅合金
銅の含有率が他の銅合金に比べて高い銅合金群をいい、銅本来の優れた特性を維持しつつ、主として機械的性質の向上を図っています。高銅合金の1つであるベリリウム銅は、銅合金の中で最も強度が高いです。