クレーン検査用ウエイト

監修:株式会社ナニワ製作所

クレーン検査用ウエイトとは

クレーン検査用ウエイトとは、クレーンの安全性と機能を確認するために使用される錘です。

ウエイトを使用してクレーンを検査するタイミングは、設置した際の荷重試験、法令点検に使用されることが一般的です。

クレーンとは、動力によって荷を吊り上げ、水平に荷を運搬(電動、手動に関わらない)し吊り上げ荷重が0.5ton以上をクレーンと定義されており、設置者はクレーン等安全規則に従わなければなりません。0.5ton以上のクレーンを設置した際は、クレーン等安全規則第12条に当該クレーンは荷重試験、及び安定度試験を行わなければならないとあります。

設置時の荷重試験は定格荷重の1.25倍の荷重で試験を行います。また、構造により安定度試験が必要な場合もあり、安定度試験は1.27倍の荷重で行います。

クレーン等安全規則第34条に設置後1年以内毎に1回定期自主検査を行わなければならず年次定期自主検査の項目に定格荷重に相当する荷を吊って行う荷重試験が定められております。

クレーンに対してクレーン検査用ウエイトを使用するタイミングは上記の通り、設置の際、年次点検となりますが、会社様によっては始業前点検に使用する、月に1回テストをするということが内部規定で決まっている会社様もございます。

以上より、クレーン検査用ウエイトはクレーンを安全、安心に使用するために機能の確認を行う重要なものとなります。

クレーン検査用ウエイトの使用用途

クレーン検査用ウエイトはクレーンの設置時、及び年次点検だけでなく様々な用途で使用されております。以下はクレーン検査用ウエイトの使用用途一例です。

1. クレーン検査

クレーンの検査では設置時、および年次点検、性能検査、使用再開検査等々だけでなく、会社によっては始業前点検、月例点検でも使用されているケースがあります。

2. クレーン操作トレーニング

ペーパー操作者、定期的な技術確認にもクレーン検査用ウエイトが使用されております。また、各種クレーン講習所においてもウエイトを使用して操作実習を行っております。これにより、安全かつ効果的な操作スキルを習得し、事故や故障を防ぐことができます。

3. コンサートステージ錘用

屋外フェス、ドームコンサートの大型テントが倒れないように1tonクラスのウェイトが多数使用されることもあります。

4. 工事用

土壌改良の錘、高いタワー設置の際の転倒防止用の錘としても使用されます。

クレーン検査用ウエイトの特徴

クレーン検査用ウエイトは重量誤差5%以内で製造されていることが一般的です。

クレーン設置時の検査は定格荷重の検査と定格荷重に対して1.25倍の検査、安定度試験が必要な際は定格荷重の1.27倍が必要なことから、例えば10tonクレーンに対して、10tonウエイト1枚ではなく、2.5tonを4枚重ね、1.25倍の際は2.5tonを1枚更に積み重ねてテストを行うのが一般的です。

また、ジブクレーン、タワークレーンでは最大半径ごとに荷重試験を行う必要があります。

点検費用、レンタルの際はウエイトレンタル費用を抑えるため定格荷重の違うクレーンを複数台一度に点検するケースがあるため一番重い定格荷重分のウエイトを準備し、全てのクレーンの荷重試験ができるようにウエイトを細かくわけるように準備します。

点検場所においては狭い場所、床の耐荷重がないところ、揚程が無いところ、ラフタークレーンで搬入し横曳が必要なところ様々な場所があるため、ウエイトレンタル会社は会社様にもよりますが様々な形状を準備されています。

ウエイトにはワイヤーを玉掛けができるように吊元が準備され、吊元にワイヤーをかけて吊り上げます。ワイヤーは荷重に応じて適合するワイヤーを使用する必要があります。 

クレーン検査用ウエイトの選び方

クレーン検査用ウエイトを選ぶ際には考慮すべき要因がいくつかあります。以下はクレーン検査用ウエイトの選定要素一例です。

1. 検査内容、及び定格荷重の確認

クレーンの検査(落成検査、再開検査、年次点検、性能検査)により同じクレーンでも落成検査と、年次点検では必要となる重量が変わりますのでご注意ください。また、クレーンの構造(タワークレーン等)により年次点検であっても複数の荷重検査が必要となります。

設置メーカー等にご確認を頂き間違いがないようにお願いします。

2. ウエイトの荷姿確認

場所をとるため設置場所の確認が必要となります。また、クレーンが無いところに保管する場合はフォークリフトで運搬も考えられますが、フォークリフトがウエイトの荷重に対応するか確認する必要があります。

狭い場所においては大きいウエイトでは取り回しができないということも問題点として発生しますのでご注意ください。また、床荷重が弱いところにおいては荷重を分散させるため接地面が大きいウエイトが必要になるケースがあります。 

3. 検査台数の確認

特に点検の際は、点検業者の費用、及び自社の負担を抑えるためにもまとめて行うことが通常です。その際に各クレーンの必要となるウエイト荷重に対して最大のウエイトで全てのクレーンが試験を行えるようにウエイトを準備するのが安価となります。複数台まとめて点検する際は、クレーンの配置により点検、荷重試験の段取りを考え、最も効率良くする事前検討が重要となります。

4. クレーン検査用ウエイトの構造

以上を踏まえウエイト製作する際は何tonのウエイトを何枚持つかを決め、概略寸法、どのような構造にしたいか、持ち運びも含めてクレーンのみで運搬する際は底面の形状は平ら(フラット)で良い、フォークリフトでの運搬を考えるなら底面に脚がついているもの、但し底面を平らでも枕木を入れればフォークリフトでの運用は可能となります。

既製品の鋳造品を使用するのか。構造がある程度自由に決められる鋼材の溶接構造にするのか。コンクリートにするかを決める必要があります。

コンクリートに関しては接触で割れる、経年劣化が考えられますので主流はある程度自由に決められる鋼材の溶接構造、既製品の鋳造品となっております。

吊元も胴巻きタイプ、吊元4本掛けタイプ、シャックルタイプ等の運用を考えて決定いたします。

レンタルに関しましては、経験豊富で多くの種類(狭いところ用、軽荷重のベースで重量を積み上げられる等々)を持っている会社が困難な現場でも対応が可能で様々なアドバイスを頂けます。

本記事はクレーン検査用ウエイトを製造・販売する株式会社ナニワ製作所様に監修を頂きました。

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