ゴム成形とは
ゴム成形とは、ゴムを金型などで特定の形に加工することです。
ゴム成形には、コンプレッション成形、トランスファー成形、射出成形などがあります。
ゴム成形の使用用途
ゴム成形は多くの産業で使用される技術です。成型方法に応じて以下のように使用されます。
1. コンプレッション成形
一般的なゴム成形方法です。自動車、医療機器、産業機械などの部品に幅広く用いられます。
2. トランスファー成形
コンプレッション成形よりも寸法精度が高いので、複雑な形状の成形で用いられます。
3. 射出成形
コンプレッション成形やトランスファー成形よりも加硫時間が短く生産量を大幅に向上できるので、大量生産に向いています。また、複雑な形状や厚肉の形状なども成形可能です。
ゴム成形の原理
ゴム成形の方法に応じて原理が異なります。
1. コンプレッション成形
成形用の金型にゴム材料を入れ、圧力をかけて必要時間保持することで成形します。他の方式よりも低い圧力で成形可能です。
2. トランスファー成形
ポットと言われる部分に加熱軟化させたゴム材料を入れ、圧力をかけると注入口から金型の内部にゴム材料が流れ込みます。その後、必要な時間保持することで成形します。
コンプレッション成形よりも複雑な形状の成形可能です。ただし、ポット内の残存材料を取り除く作業が必要です。金型費用は、射出成形よりも抑えられます。
3. 射出成形
加熱液化させたゴム材料を金型に注入して成形します。小型・複雑形状の成形が可能です。また、大量生産にも向いています。ただし、設備が大きく、金型費用も高価です。
ゴム成形のその他情報
1. ゴム成形の温度
ゴム成形を行う際は、ノズル温度と金型温度を制御する必要があります。
ノズル温度
天然ゴムの場合は70℃に設定することが推奨されます。また、エチレン、プロピレンゴム (EPDM) 、ニトリルゴム (NBR) 、アクリルゴム (ACR) 、クロロプレンゴム (CR) の推奨設定温度は80℃です。
金型温度
天然ゴムの場合は160℃に設定することが推奨されます。EPDM、NBRの場合には175℃に、ACRの場合には180℃に設定します。また、CRの推奨設定温度は170℃です。
2. ゴム成形の不良
ゴム成形において成形条件が不十分な場合には成形不良が生じます。成形不良の主な要因は以下の7つです。
- 加硫不足
成形時の化学反応が完了せずに生じます。温度温度が低い場合や加硫時間が短い場合に生じます。 - エアの発生
材料が流し込まれる際にエアをトラップした状態で加硫されてしまうと生じます。 - ヒケの発生
成形体にへこみができる状態です。加硫中の材料収縮によって生じます。 - パートライン割れ
金型の割面 (パートライン) でゴムが割れる現象です。ヒケと同様の原因で発生します。 - バリ噛み
成形ショットのバリが金型に残り、次ロットの製品に入り込む現象です。最終充填部において生じやすくなります。 - 焼けの発生
加硫が進んだゴム材料が製品に混ざる現象です。射出時間が長い場合などに生じます。 - ピンホールの発生
脱型時において成形体を引き延ばした際に小さな穴が開く現象です。カーボン分散不良や材料内への異物混入などが原因で生じます。
3. エラストマのゴム成形
ゴム材料の一つであるエラストマは、熱可塑性樹脂です。常温ではゴム、高温でプラスチックの物性を持ちます。エラストマの成形では、異なった材料同士を組み合わせた成形や型の中に金属などの部品をセットして成形するインサート成形も可能です。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/75/7/75_7_295/_pdf/-char/ja
https://kayo-corp.co.jp/common/pdf/tech_kanagata.pdf
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu1944/47/4/47_4_245/_pdf
http://www.naniwagousei.com/
https://plastic-injection-molding.info/