ジアゾニウム

ジアゾニウムとは

ジアゾニウムとは分子内にNN三重結合を有する窒素化合物の総称です。この官能基は、1価のカチオンとなるため、通常のジアゾニウム化合物は、ジアゾニウム塩として存在し、さらに三重結合を分子内に含むことから反応性が非常に高くなります。単離物は、爆発性を有することでも知られています。そのため、通常は、単離せずに合成した反応系中、溶液状態のまま用いられます。

基質として電子吸引基を有するアリール基を用い、陰イオンにテトラフルオロホウ素(BF3)を用いることによって安定化させることが可能です。この一例として、p-モノホリノベンゼンジアゾニウムテトラフルオロホウ酸塩が市販されています。この化合物の法規制は、消防法において第5類に指定されており、毒物および劇物取締法においては劇物に該当します。また、PRTR法では、第1種指定化学物質に指定されています。

ジアゾニウムの使用用途

ジアゾニウムは、分子内に高い反応性を有するNN三重結合を有するため、単体ではほぼ利用されず、反応中間体として用いられます。ジアゾ基を用いた反応は、多く知られており、頻繁に用いられる例としてザンドマイヤー反応などの芳香族置換反応、ジアゾカップリングなどが挙げられます。

これらの反応は、種々の医薬品や機能性材料の合成に用いられますが、特に有名な使用例としてアゾ染料の合成があります。アゾ染料とは構造中にアゾ基を有する染料の総称であり、ジアゾニウムとフェノール類、または芳香族アミン類とのカップリング反応によって得られます。合成染料の半数以上がアゾ染料に属しているといわれ、工業的に非常に重要な化合物です。

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