シクロペンタジエンとは
シクロペンタジエンとは分子式C5H6であらわされる5員環構造を有する環状ジエンのひとつです。外観は、無色の液体であり、テルペン臭といわれる特徴的な臭気を持ちます。石炭乾留のガス軽油中やナフサ熱分解のC5留分中に含まれるため、工業的にはそれらの分留によって得られます。反応性が高く、室温で容易に二量化し、ジシクロペンタジエンを生成します。ジシクロペンタジエンは、加熱することによって、再度シクロペンタジエンに分解するため、実験室などでの使用は、安定なジシクロペンタジエンから都度、加熱調整することが一般的です。
シクロペンタジエンは、GHS分類において、引火性液体、急性毒性、眼刺激性、特定標的臓器毒性・全身毒性(単回・反復ばく露)に分類されています。
シクロペンタジエンの法規制は、労働安全衛生法において名称等を表示・通知すべき有害物、および危険物・引火性の物、また消防法において第4類第一石油類に指定されています。
シクロペンタジエンの使用用途
シクロペンタジエンの使用用途は、農薬、殺虫剤、樹脂可塑剤の合成などが挙げられます。シクロペンタジエンは、活性な共有二重結合を分子内に有する環状化合物であり、強い酸性を示すことに加え、ナフサ分解時に副生する留分に多量に含まれることから、その用途も広く研究開発が進んでいます。
特に無水マレイン酸とのDiels-Alder反応によって得られる無水ハイミック酸、合成ゴムの一種であるEPDMの原料となるエチリデンノルボルネン、ドリン系農薬や殺虫剤の原料となるヘキサクロロシクロペンタジエンなどは、工業的にも広く用いられるシクロペンタジエン由来の化合物です。