クロロフェノールとは
図1. モノクロロフェノールの構造
クロロフェノール (英: chlorophenol) とは、フェノールに塩素が結合した芳香化合物です。
塩素原子の数によって、モノクロロフェノール、ジクロロフェノール、トリクロロフェノール、テトラクロロフェノール、ペンタクロロフェノールに分けられます。モノクロロフェノールには、o-クロロフェノール、m-クロロフェノール、p-クロロフェノールの3種類の異性体があります。位置異性を考慮するとクロロフェノールは合計19種類です。
ほとんどのクロロフェノールは室温で固体で、強い薬用の味と香りがあります。一般的に除草剤、殺虫剤、消毒剤として利用可能です。クロロフェノールは内分泌攪乱物質であり、甲状腺などに影響を与えるため、法律で規制されています。
クロロフェノールの使用用途
クロロフェノールは、農薬・医薬・染料の中間体として、主に利用されています。
- o-クロロフェノールは、染料の中間体や農薬の原料として使われています。
- m-クロロフェノールは、医薬や農薬の中間体、窒素含有繊維の染色、接着剤と耐熱性樹脂の原料に利用可能です。
- p-クロロフェノールは、染料の中間体、殺菌剤、化粧品の防腐剤として使われています。以前は、繊維品や皮革品の防腐剤にも使用されていました。
クロロフェノールの性質
o-クロロフェノールは2-クロロフェノールや2-クロロ-1-ヒドロキシベンゼンとも呼ばれ、無色〜薄い赤色の液体です。水に溶けにくく、エタノール、アセトンには非常によく溶けます。
m-クロロフェノールは3-クロロフェノールや3-クロロ-1-ヒドロキシベンゼンとも呼ばれ、無色〜黄褐色の液体です。水にはほとんど溶解せず、エタノールやアセトンにはよく溶けます。
p-クロロフェノールは4-クロロフェノールや4-クロロ-1-ヒドロキシベンゼンとも呼ばれ、白色〜薄い褐色の塊または液体です。特異臭があり、水には溶けにくく、エタノールにはよく溶けます。
クロロフェノールの構造
クロロフェノールは、共有結合した塩素原子を1つ以上含むフェノールの有機塩化物です。クロロフェノールは、塩素によるフェノールの求電子ハロゲン化によって生成します。
ヒドロキシ基が結合している炭素原子を除いて、フェノール分子のベンゼン環の5つの炭素原子に塩素原子が結合し、合計19種類のクロロフェノールが存在します。
フェノールの水素原子1つを塩素原子に置換したモノクロロフェノールは3種類です。
クロロフェノールのその他情報
1. ジクロロフェノールの構造
図2. ジクロロフェノールの構造
ジクロロフェノールは、フェノールの持つ2つの水素原子を塩素原子に置換した化合物です。ジクロロフェノールには、2,3-ジクロロフェノール、2,4-ジクロロフェノール、2,5-ジクロロフェノール、2,6-ジクロロフェノール、3,4-ジクロロフェノール、3,5-ジクロロフェノールの6種類の異性体が存在します。
2. クロロフェノールのその他異性体
図3. クロロフェノールの構造
トリクロロフェノールは、フェノールの持つ3つの水素原子を塩素原子に置換した化合物です。6種類の異性体が存在します。2,3,4-トリクロロフェノール、2,3,5-トリクロロフェノール、2,3,6-トリクロロフェノール、2,4,5-トリクロロフェノール、2,4,6-トリクロロフェノール、3,4,5-トリクロロフェノールです。
テトラクロロフェノールは、フェノールの持つ4つの水素原子を塩素原子に置換した化合物です。3種類の異性体が存在します。2,3,4,5-テトラクロロフェノール、2,3,4,6-テトラクロロフェノール、2,3,5,6-テトラクロロフェノールです。
ペンタクロロフェノールは、フェノールの持つ5つの水素原子を塩素原子に置換した化合物です。フェノールの5つの水素原子がすべて塩素原子に変わったため、ペンタクロロフェノールの構造は1種類しかありません。