電子部品洗浄剤とは
電子機器などで使用する実装基板上に残ったフラックスを洗浄除去するための洗浄剤が電子部品洗浄剤です。フラックス洗浄剤とも呼ばれます。
また、自動車などのハーネスやコネクタ、センサーなどの汚れやすい電子機器の清掃を目的とした接点洗浄剤を指す事もあります。これらは、整備工場などでも手軽に使用できるようにスプレー式であることも多いです。接点復活剤とは異なり油分を含まないので、基本的にはプラスチックを侵さず、後処理も手がかからないのが特徴です。
電子部品洗浄剤の使用用途
電子機器などで使用するプリント基板へ基盤実装(電子部品をはんだ付けすること)した際に、基板上にフラックス(融剤)が残る可能性があります。基板上に残ったフラックスが電子機器に対し悪影響を与える可能性があるため、フラックスを洗浄除去する必要があり、このフラックスを除去するために使用する洗浄剤が電子部品洗浄剤です。
プリント基板や基板上に実装される電子部品は非常にデリケートなため、電子部品洗浄剤にはこれら電子部品を傷めない原料が使用されています。ただし、電子部品洗浄剤には多くの種類が存在するため、電子部品洗浄剤を使用する際には、各部品メーカーに適合する電子部品洗浄剤を確認することが必要です。
電子部品洗浄剤の原理
以前は電子部品洗浄剤として特定フロンCFC(クロロフルオロカーボン)が使用されていましたが、オゾン層を破壊する物質としてモントリオール議定書で規制の対象とされ、現在は使用が禁止されています。その後、CFCの代替として代替フロン(HCFC/HCFC)が使用されていますが、今後HCFCは使用禁止、HFCは使用量削減が予定されています。
フロン系以外の洗浄剤としては、グリコールエーテル系洗浄剤や準水系洗浄剤、非ハロゲン系洗浄剤などがあります。
準水系は引火性がなく非危険物なので安全に使用でき、水に溶けるためにすすぎが簡単なため、電子部品洗浄剤としての使用量が増えています。
一方、洗浄の必要のない無洗浄ハンダも開発されています。これら無洗浄ハンダを使用した場合は、フラックスは透明に近く非腐食性です。このため、無洗浄はんだを使用している場合には、基本的には電子部品洗浄剤を使用したフラックス除去を行う必要はありません。