EV充放電装置

監修:株式会社椿本チェイン

EV充放電装置とは

EV充放電装置

図1. EV充放電装置

EV充放電装置とは、電気自動車 (EV) やプラグインハイブリッド車 (PHEV) への充電だけでなく、自動車内のバッテリーから電気を取り出して建物等に給電できる装置のことです。

車両と建物間で相互に接続し電力を融通することを、V2X (英: Vehicle to Everything) と呼び、企業・自治体などの建物や、家庭などで、ピークカット・ピークシフトや、非常時の電源として使用することができます。

EV充放電装置の使用用途

EV充放電装置の主な使用用途は下記の通りです。

1. EVの大容量バッテリーを非常用電源として活用

EVは一度のフル充電で数百キロもの距離を走行できるだけの大容量バッテリーを搭載しており、EV充放電装置を介することで停電時にも長時間にわたって電気を供給することが可能です。従来の非常用発電装置や、定置型の蓄電池設備と比較しても安価であるため、EVと共にEV充放電装置を導入することで企業・自治体におけるBCP対策も併せて実現することができます。

2. 再生可能エネルギーの有効活用

EV及びEV充放電装置と太陽光発電パネル、蓄電池を組み合わせ、以下のような取り組みを行なうことで、再生可能エネルギーを有効活用することが可能です。

  • 太陽光発電パネルが日中に発電した電気をEV へ溜め込み、夜間、EV に溜まった電気を負荷へ供給する。
  • 電力使用ピーク時には電力会社の電気ではなく、蓄電池やEV 内の電気を使う。

3.SDGsへの取り組み、脱炭素の実現等、環境貢献の手段として活用

昨今、企業や自治体においては、SDGsへの取り組みや脱炭素の実現が求められていますが、EV充放電装置を用いてエネルギーマネジメントを行なうことで環境貢献も行なうことができます。

4. 仮想発電所 (英: Virtual Power Plant, VPP) の手段として活用

V2X対応型のEV充放電装置を用いれば、自社の太陽光パネル・蓄電池・EV内バッテリーを仮想発電所 (VPP) に見立てて電力会社の電力網 (グリッド) に接続し、余剰電力を販売することも将来的には可能です。

EV充放電装置の原理

EV充放電装置は、EVと建物側の電力系統との懸け橋のような役割を担います。建物側の電力系統からEVに対しては、建物側の交流 (AC) 電力を直流 (DC) 電力に変換し、EVのバッテリーへ充電を行ないます。一方、EVから建物側に対して給電する場合は、直流 (DC) 電力から交流 (AC) 電力への変換を行ない、建物側の分電盤を介して電力を供給します。

EV充放電装置の選び方

EV充放電装置を選ぶ際には、使用場面に合わせて選ぶことが大切です。

1. 企業・自治体における選定のポイント

主にBCP 対策、エネルギーマネジメント、環境対策の3つの観点から導入検討を進めます。

太陽光発電パネルや、定置型の蓄電池、エネルギーマネジメ
ントシステム (EMS) 、そしてEVとの組み合わせを考えながら設計を進め、既存の設備を有している場合は、それらとEV充放電装置との相性も確認していく必要があります。

自社単独での設計が困難な場合は、EMSを取り扱うシステムインテグレーター (SIer) や太陽光発電パネル・蓄電池を専門に取り扱う事業者、または、EV充放電装置を販売するメーカーに相談を持ち掛けることも有効です。

また企業・自治体の導入においては、EV 充放電装置のカスタマイズ性も重視する必要があります。有料駐車場での設置では課金に対応させる、遠隔地ではネットワーク機能を搭載してリモートメンテナンスに対応させる等、企業・自治体のニーズに細かにカスタマイズ対応ができるメーカーの製品を選ぶことが重要です。

実際に停電が発生した際に、社員や職員が扱いやすいかどうかも大切なポイントです。緊急時の操作が、簡単にできる設計になっているかどうかも確認します。

2. 家庭における選定のポイント

家庭用途の場合はV2H対応型のEV充放電装置を検討することになります。その場合も太陽光パネルや蓄電池、EVとの組み合わせを考えながら設計を考えていきます。これらを個人が1人で検討することは難しいため、ハウスメーカーや電力会社、電気工事事業者と相談しながら進めることが必要です。

EV充放電装置のその他情報

V2Xとは

V2X(Vehicle to Everything)

図2. V2X (英: Vehicle to Everything) の概要

自動車技術の発達に伴い、近年「V2○○」という言葉が新聞・テレビやネット上で用いられるようになりましたが、これらはいずれも自動車と何かを繋ぐことを指しています。一例として、以下のものがあります。

  • V2V (英: Vehicle to Vehicle) : 自動車同士の接続
  • V2G (英: Vehicle to Grid) : 自動車と電力網
  • V2B (英: Vehicle to Building) : 自動車と建物
  • V2H (英: Vehicle to Home) : 自動車と家庭

このように多数存在する接続手法を総括してV2X (英: Vehicle to Everything) と呼びます。一般的にV2Hは家庭向けに使いやすいように設計されている一方、パブリックな環境で使用しやすいように、形状やユーザーインターフェイスが設計されており、企業・自治体などでの利用にはV2X対応型EV充放電装置が有力候補になると予想されています。

本記事はEV充放電装置を製造・販売する株式会社椿本チェイン様に監修を頂きました。

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