監修:株式会社タダノエンジニアリング
門型リフターとは
門型リフターとは、油圧シリンダなど伸縮する機構を備えたジャッキ (脚) と、ビーム (梁) を門型に配置し、ビーム下部または上部にセットした重量物をジャッキ伸縮により真上・真下に移動させる揚重機械です。
外観が門のような形をしていることから、「門型リフター」と呼ばれていますが、その形状から「橋形リフター」や「ガントリー (英: gantry) 」と呼ばれることもあります。なお、ガントリーとは、複数の脚の上部に水平な梁を備えた門型の構造物を指す単語です。
走行フレームには車輪が設けられており、重量物をせり上げた状態で走行移動させることができます。また、左右へ横行移動させることができるものもあります。小型なものは、せり上げ能力1t程度から大型なものは1,000tを超えるものまであり、またビームの長さや揚程、ストロークなど様々なバリエーションがあります。工場や倉庫内、建設現場では、様々な重量物を移動させる作業が必要になりますが、建屋内の形状、制約、能力などでクレーンが使用できない条件下で重量物を安全に移動することに適した揚重機械です。
門型リフターの使用用途
門型リフターは、天井が低い建屋やトンネル内、また上空に電線などの障害物がある場所など、現場環境の制約でクレーンが使用できない狭い場所での重量物の移動に多く使用されています。また、天井クレーンが導入できない建物 (建物の強度不足、賃貸建屋など) での代替設備としても使用されています。
門型リフターは、ジャッキを伸縮させて揚重します。専用ハンガーに直接玉掛けできるため、揚程ロスが少なく、上空の障害物に応じてジャッキを伸縮させることでビーム高さを自在に変えることができます。
長尺や重量のある荷物の移動の際、クレーンやフォークリフトを使用することは不安定で危険です。このような場合には、門型リフターを2台使用することで安全で効率的に移動することができます。重量物を移動させる場所の環境に応じて、様々な大きさと形状の門型リフターが使用されています。
門型リフターの原理
門型リフターは、電気を動力とした油圧もしくは電動で伸縮するジャッキと、ジャッキ上部にはビーム (梁) を持っています。ビームには荷物を保持する専用ハンガー (環) が取り付けられているものと、荷物をせり上げるデッキになっているものがあります。
ビーム下で荷物を移動させる場合には、ビームの下に荷物を置いて、ジャッキを縮めてビームに取付けたハンガーに荷物を掛けてからせり上げます。デッキを使うリフターは、ジャッキを縮めてデッキを下げ、その上に荷物を設置してからデッキをせり上げます。
門型リフターが移動する際は、大型のものはジャッキの下部ある車輪をモーター等の力で動かします。小型のものは人力で押すものもあります。運転は制御盤へ繋がれている操作スイッチ (盤) で操作します。
門型リフターの種類
門型リフターの種類は、荷物をビーム (梁) でせり上げる方式と、デッキ上でせり上げる方式の違いのほか、取り扱う荷物の重量の違いや、揚程※1、ストローク※2、スパン※3など様々なバリエーションがあります。
※1揚程: ハンガー (環) の穴下面と地面 (レールを敷設するものについてはレール上面) との距離
※2ストローク: ジャッキ全縮から全伸の移動量
※3スパン: 左右ジャッキの中心間距離 (水平距離)
また、門型リフターはパーツごとに分解・組立ができます。使用場所を限定することなく、必要な時に必要な場所へ持ち込んで組み立てして使用できるため、設備の投資効率が良くなります。
門型リフターの選び方
門型リフターは、大型も小型も人が持ち上げられない重量物を取り扱います。従って、その選択と使用に当たっては何よりも安全性が重視されます。また、故障や荷崩れなどのトラブルが発生した場合の対処も、自社だけではできないことも考えられます。
選択の際には、個々の機械の仕様に加えて使用現場の環境条件に合った設置方法の提案や、保守メンテナンスなどのサポート体制を含めて検討することが大切です。
本記事は門型リフターを製造・販売する株式会社タダノエンジニアリング様に監修を頂きました。
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