テクネチウム

テクネチウムとは

テクネチウムは、原子番号43の元素であり、元素記号が Tcです。マンガン族元素の1つで、遷移元素です。安定同位体が存在せず、全ての同位体が放射性をもちます。人工的には、モリブデンに加速した重陽子を当てるほか、中性子照射したウランから分離精製して生成します。

銀白色~銀灰色の金属であり、六方晶系結晶(六方最密構造)です。融点は、約2200 ℃(複数の報告あり)で、沸点4877 ℃、密度が11.5 g cm-3(20℃ 計算値)です。わずかに磁性を有しており、11.3 K以下で強磁性を示し、7.8 K 以下で超伝導を示します。化学的性質は、同族元素である原子番号75のレニウムに類似し、フッ化水素酸、塩酸には不溶であり、酸化力のある硝酸、濃硫酸、王水には可溶です。

テクネチウムは、1936年に初の人工元素として合成され、1947年にテクネチウムと命名されました(ギリシャ語の「人工」を表すtechnitosが語源)。天然のテクネチウムは、ウランの核分裂で微量生成する程度であり、地球上では非常にまれな元素です。そのため、発見が自然界に由来しない最初の元素かつ最初の人工放射性元素となりました。なお、宇宙上では、天体にテクネチウムが存在することがスペクトル線によって確認されています。

テクネチウムの使用用途

テクネチウムは、基本的に放射性元素としての性質を利用した用途があります。

具体的には、核医学における医用トレーサーとして、骨・腎臓・肺・甲状腺・肝臓・脾臓といった骨格・臓器に対する検査に用いられます。剤形としては、血流測定剤、骨イメージング剤、腫瘍診断剤の放射線診断薬があり、検査目的に応じた多種の注射剤が製品化されています。

そのほか、軟鉄の腐食防止剤としての用途があります。

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