チタニア

チタニアとは

チタニアとは、化学式TiO2で表されるチタンの酸化物です。

チタニアはチタンの酸化物の中で最も安定な化合物です。別称としては、酸化チタン (Ⅳ) のほか、二酸化チタン、ジオキソチタン (IV) 、チタン (IV) ジオキシドなどがあります

チタニアの使用用途

チタニアの主な使用用途は、顔料および光触媒です。チタニアは国内で約12万トンが毎年生産されています。

顔料や白色の着色剤の原料として使用されます。チタン白、チタンホワイト、チタニウムホワイトと呼ばれ、高い隠蔽力をもちます。顔料としての分類名 (カラーインデックス名) は、C.I.Pigment White 6です。チタニアは、優れた白色度や隠蔽力、着色力、化学的に極めて高い安定性などの特色を活かし、白色顔料として、塗料や絵具、インクジェットインキ、プラスチックの着色顔料、釉薬、印刷インキ、化繊等の用途で幅広く使用されています。

また、チタニアは紫外線相当の短波長の光を受けると、水と反応して活性酸素種を生成します。このような光により、表面で強力な触媒能力を発現する物質を光触媒と呼びます。活性酸素種は、強い酸化力をもつため、化学薬品や細菌などに対して分解作用を示します。その他、チタニアの光触媒作用を利用して、工業的に難分解性の物質を分解しています。

人体への影響が小さいため、食品・医薬品・化粧品の着色料 (食品添加物) としても有用です。チタニアの人工結晶は、無色透明であり、屈折率がタイヤモンドよりも高いため、人工宝石としての用途もあります。シリコーンゴム・磁気テープ・セラミックスの配合原料、オフセット印刷の感光体、固体触媒の担体、日焼け止め製品、化粧品、洗顔料・洗顔石鹸、ネイル製品等にも使用されています。 

チタニアの種類

チタニアは結晶構造の違いから、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型の3種類が存在します。アナターゼ型とルチル型は正方晶で、ブルッカイト型は斜方晶です。

アナターゼ型を900℃以上に、ブルッカイト型を650℃以上に熱すると、ルチル型に転移します。最安定構造はルチル型です。そのため、ルチル型に一度転移すると、低温に戻しても構造を維持します。工業用に用いられている結晶構造は、ルチル型とアナターゼ型です。

触媒としての活性が低く、熱安定性にも優れる構造であるルチル型は顔料として使用されることが多いです。また、アナターゼ型の方がバンドギャップが大きいため、一般的に光触媒としての活性が高く、光触媒としてはアナターゼ型が使用されることが多いです。

チタニアの性質

チタニアは、フッ化水素酸、熱濃硫酸および溶融アルカリ塩に溶解します。一方、その他の酸、アルカリ、水および有機溶剤には溶解しません。

またアナターゼ型とルチル型で密度が異なり、アナターゼ型が3.78g/cm3、ルチル型が4.23g/cm3とルチル型がかなり重くなっています。

チタニアのその他情報

チタニアの製造方法

天然には、高温で生成される火成岩、変成岩の副成分鉱物として分布し、金紅石 (ルチル型) 、鋭錐石 (アナターゼ型) 、板チタン石などの鉱物として産出されます。チタニアの工業的生産では原料にイルメナイト鉱石 (FeTiO3) または、ルチル鉱石が用いられます。硫酸法または塩素法の2つの方法で製造されています。

1. 硫酸法 (イルメナイト鉱石から) 
硫酸法では、イルメナイト鉱石を濃硫酸に溶解させ、鉄分を硫酸鉄として分離し、オキシ硫酸チタンに変換します。それを加水分解してオキシ水酸化チタン (TiO(OH)2) にし、沈殿させてチタニアを得ます。

2. 塩素法 (ルチル鉱石から)
塩素法では、ルチル鉱石をコークス・塩素と反応させ、四塩化チタンを作ります。その後、高温で酸素と反応させ、塩素ガスを分離回収してチタニアを得ます。

参考文献
http://www.chemicoco.env.go.jp//span>
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/13463-67-7.html
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/13463-67-7b.html

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