吸音材とは
吸音材とは、音を吸収し、音の反射を抑えるものです。
音は空気中を伝搬するため、基本的には吸音材は多孔質材料であり、空気が吸音材内部に入りやすい構造となっています。他方、音が入らないよう音を反射させるものは遮音材です。吸音材と遮音材は対極にある材料と言えます。
吸音材には使用用途やその形状により、様々な形状があります。板状のものは吸音板、吸音板を重ねて厚さを確保したものを積層型吸音板、三角形のものは吸音クサビ、ブロック状のものを吸音ブロックと呼びます。
吸音材の素材は、グラスウールやロックウール、多孔質ウレタン、ポリエステル繊維が代表的ですが、建材として使用する際は、不燃材であるグラスウールとロックウールが多いです。これらの素材単体でも吸音材ですが繊維系の材料は飛散しやすく、意匠性を含めた保護材として吸音材表面に通気性のある生地を貼ることがあります。
吸音材の使用用途
吸音材は、音楽スタジオやホール、映画館や工場、オフィス、音響測定室の壁や天井面の内装に使用され、その目的は反響音の防止による騒音対策と音場調整の2つです。
1. 騒音対策
吸音処理がされていない壁や天井は音を反射し、反響により騒音が増幅してしまいます。例えば、コンクリート打ちっ放しで作られた空間に設置されたポンプが稼働する際に、コンクリート面に当たったポンプの稼働音が反射を繰り返し非常にうるさい環境となり、従来ポンプが発生する音がより大きくなってしまいます。吸音材をコンクリート面に施工することにより、反響音は抑えられます。
2. 音場調整
特定空間内の音の聴こえ方を調整することを音場調整と言います。音は、低い音から高い音 (周波数) まで広帯域に存在します。また、周波数によって音の伝わり方も変化します。ホール内のステージで楽器を演奏する場合、明瞭に音が聴こえるように、低周波音がこもる部分に吸音材を施工したり、録音室ではドライソースをレコーディングするために吸音材によりデッド空間を作ったりします。
吸音の原理と性能
吸音は音エネルギーを熱エネルギー等に変換することです。
吸音材の吸音性能は、吸音率で表されます。吸音率が高ければ高いほど、吸音材の性能が高いといえます。吸音率は、主に垂直入射法吸音率と残響室法吸音率により測定算出されます。ただし、垂直入射法と残響室法では異なる吸音率データとなり、あくまでも同測定方法により吸音率が比較されます。