合板とは
合板 (ごうはん) とは、木材を薄く剥いだ単板を繊維方向が交差するように積み重ね、接着剤で貼り合わせて作られた人工的な板材です。
繊維方向を直角に交差させる構造により、無垢材よりも強度と寸法の安定性が高くなります。合板は、無垢材に比べてコストが低く、水を吸いにくく、湿度や温度の変化で反りにくい特徴を持っています。木目のデザインや仕上げ加工の方法が多く、用途に応じて遮音性や断熱性を高めることも可能です。
一方で、接着剤の成分が原因となるシックハウス症候群やアレルギー、化学物質の臭いといったデメリットも挙げられます。また、表面にシートを貼った合板は、10~20年程度でメンテナンスが必要になる場合があり、貼り替えには追加のコストが発生します。
合板の使用用途
合板の使用用途として、建築用途、家具や内装用途の2つが挙げられます。
1. 建築用途
建築用途は壁材や床材、屋根下地材、コンクリート型枠材に分けられます。
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壁材や床材
合板は、住宅や建築物の壁や床材に使用されます。特に構造用合板は、耐震性や耐久性が求められる箇所で重要な役割を果たします。積層構造により、荷重を支える力が強く、湿度や温度変化にも耐えるため、安心して使用できます。 -
屋根下地材
合板は軽量で加工しやすいため、屋根の下地材にも適しています。防水シートや他の建材と組み合わせることで、優れた耐久性を持たせることが可能です。 -
コンクリート型枠材
型枠用の合板は、コンクリートを打設する際の堰板として使われます。表面加工が施されたものは滑らかな仕上がりを実現し、型枠の再利用性も高まります。
2. 家具や内装用途
家具や内装用途は天然木化粧合板、特殊加工化粧合板に分けられます。
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天然木化粧合板
内装や家具には、天然銘木を表面に貼った合板が使用されます。高級感のある仕上がりが特徴で、リビングルームやオフィスの装飾に適しています。 -
特殊加工化粧合板
木目模様やデザインを印刷加工した合板は、住宅の内装や家具製作に最適です。耐久性を高めた仕様のものもあり、商業施設などで多用されています。
合板の原理
合板の原理として、積層構造による安定性、接着剤の役割、層数と厚みのバランス、吸音性や断熱性の4つを解説します。
1. 積層構造による安定性
合板の特徴は、繊維方向を交差させた積層構造です。合板の構造により、木材特有の伸縮や収縮が抑えられます。一方向の力だけでなく、多方向からの力にも耐えられるため、歪みや割れが起こりにくく、強度が向上します。
2. 接着剤の役割
合板の製造には、耐久性の高い接着剤が欠かせません。接着剤は単板を一体化させるだけでなく、合板全体の剛性を向上させます。また、耐水性や耐熱性を付与する特殊な接着剤が使用されることもあります。
3. 層数と厚みのバランス
薄い合板は軽量で加工しやすく、家具や内装に適しています。一方、厚みのある合板は強度が高いため、建築や構造物に使用され、一般的に厚みが増すほど単板の層数も多くなり、それに伴って耐荷重性が向上します。
4. 吸音性や断熱性
木材特有の細胞構造が残る合板は、音や熱を伝えにくい特性を持っています。そのため、遮音性や断熱性を求められる建築用途において優れた性能を発揮します。
合板の種類
合板の種類として普通合板、構造用合板、コンクリート型枠用合板、化粧ばり構造用合板、天然木化粧合板、特殊加工化粧合板の6種類が挙げられます。
1. 普通合板
普通合板は、特定の使用箇所に限定されず、幅広い用途で使用されます。住宅の内装や軽量の家具、日用品など、あらゆる場面で活用できる汎用性の高い合板です。
2. 構造用合板
構造用合板は、耐震性や耐久性が求められる箇所に使用されます。壁の下地材、床材、屋根材など、建築物の構造を支える重要な部材として使われます。特類や一類、二類に分類され、用途に応じた使用が可能です。
3. コンクリート型枠用合板
コンクリート型枠用合板は、打設したコンクリートの形を成形する堰板として使用されます。表面加工の有無により、滑らかな仕上がりや耐久性が変わります。
4. 化粧ばり構造用合板
化粧ばり構造用合板は、構造用合板の表面や裏面に装飾用の化粧板を貼り付けたものです。強度とデザイン性を兼ね備え、商業施設や住宅の内装材として使用されます。
5. 天然木化粧合板
天然木の薄い単板を表面に貼った合板は、高級感のある仕上がりが求められる家具や内装材に適しています。独特の木目模様が空間に温かみを与えます。
6. 特殊加工化粧合板
特殊加工された化粧合板は、耐久性を重視しつつ、美観を損なわない仕上がりが特徴です。木目模様やカラフルなデザインを印刷したものが多く、住宅や商業施設で使用されています。