マスキングテープ

マスキングテープとは

マスキングテープ

マスキングは「覆い隠す」「包み込む」といった意味があります。マスキングテープは、主に金属表面処理のマスキング材料として使用されます。用途別に分類すると、塗装用と電気メッキ用の2種類に分けられます。

塗装用は、塗料の吹き付けやハケ塗りに使用されるため「密着性」「剥離製」「耐溶剤性」「マスキング面の変色・汚染」が必要条件として求められます。

マスキング材料としては、伸長性と柔軟性を有しているクレープ紙粘着テープが、航空機や自動車などの高級塗装仕上げに利用されています。また、クレープ紙粘着テープは、特に湾曲面のマスキングにも適していることから好まれています。

電気メッキ用は、主にメッキ液から基盤の端子を保護する目的として使用されます。そのため「密着性」「剥離製」のほかにも「耐薬品性」「耐熱性」「多様な金属表面への適性」が求められます。

また、電気メッキ用は、アメリカのマスキング材料を参考にすることができます。なぜなら、日本のメッキ技術は、アメリカからの技術導入により発展したこともひとつの要因として挙げられるからです。

アメリカのマスキングテープとしては、Michigan Chrome &Chemical Co.,社製のビニルテープやポリエステルテープ、鉛ハクテープ、アルミニウムハクテープ、固形ワックスが代表的なマスキング材料として考えられています。

マスキングテープの使用用途

現在、マスキングテープは、塗装用や電気メッキ用以外でも使用されています。例えば建築関係のシーリングと床材の保護が挙げられます。また、和紙や紙のマスキングテープが販売されるようになり、きれいに剥がせて、文字が書け、カラフルな色合いが多いことから一般家庭や芸術分野でも注目を集めるようになりました。

特に芸術分野では、カモ井加工紙株式会社が、テープアートの周知を目的とした「mt art project」を開催したことや文具・雑貨としてのマスキングテープ「mt」を発売したことも、テープアートが世界中に広がった理由のひとつです。

マスキングテープの原理

マスキングテープの起源は、粘着テープとされています。

粘着テープは、1874年、ロバート・ウッド・ジョンソン氏が、天然ゴムをもとに松脂や植物性の充填剤などを加えて、常温でも粘着性に優れたばんそうこうの製造と販売を始めました。

その後、ロバート・ウッド・ジョンソン氏は、1886年に兄弟でジョンソン・エンド・ジョンソンを創業し、1890年には薬品を含まないばんそうこうを発売しました。このばんそうこうが、外科用テープとして広く活用されました。

こういった背景があり、電気絶縁テープの始まりであるブラックテープが発明されたり、後のマスキングテープの発明につながります。

そして、1920年、車体塗装のために医療用テープが利用され始めます。アメリカのデトロイトで自動車産業が活況にわいたことで、ジョンソン・エンド・ジョンソン社の販売する医療用テープが多く売れました。しかし、医療用テープは、マスキング用にはつくられていないため、隙間から塗料が内部に浸透してしまうなど、さまざまな問題が発生してしまいます。

そこで、1925年にミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチャリング・カンパニー社(現: 3M社)のR.G.Drew氏が、マスキングテープを改良したことによって常温や指圧で、各種の物体に吸着し、吸着表面からきれいに除去できるマスキングテープを開発しました。

このとき、R.G.Drew氏は、クレープ紙にニカワを含有させることで、粘着剤を塗ってテープにしても表裏の層割れや毛羽立ちを生じないマスキングテープを開発しています。

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